居林:来年のどこかでは来ると思います。タイミングに影響を与えるウクライナ問題、米中関係などの外的変動要因がありますが、一番大きいのは中国のリオープニング、つまり経済再開がどうなるのかでしょうね。

中国のゼロコロナ政策の転換は、統制から経済へ動き出した一歩目ですかね。

居林:はい。結論を言えば、中国の経済再開が来年どこかで来ると思います。中国が政治から経済に少し振れ始めたニュースが相次いでいて、これは世界経済にとってとてもいいことだと考えています。

ということは、来年にも市場は2つ目の山を越える?

居林:2つ目の山、つまり景気後退と企業業績の落ち込みの底が見えるといいなと期待しています。が、来年は希望と失望が交錯すると思います。

[画像のクリックで拡大表示]

居林:米国の株式(S&P500)です。予想EPS(1株当たり利益)の通り業績は落ち込むんですが、インフレのピークが過ぎた、というニュースを受けて株価は反発しました。10月の12日が暫定のボトムになっていますね。

 株価がボトムから反転して前回のピークを越えるまでにかかる期間は、過去平均で24.6カ月なんです。ざっと2年かかる。もしそれが今回も当てはまるとしたら、22年10月から2年として、前回のピークまで戻るのは24年の秋。経験則からすると、先は長い。だから、投資も焦らなくていい。これが全体感ですね。

今回の景気後退の終わりを予想するには?

株価は業績(予想)の関数、というのがこの連載の一貫したテーゼですけれど、株価と業績は、どちらが先に大底を付けるんでしょう。

居林:もちろん、株価が先です。そしてさらに言えば、その先行指標もあるんですが、何か分かります?

えっ。読者の皆様、ご一緒に考えてみてください(笑)。

居林:じゃ、それを考えるヒントも含めて、景気後退の山を越えたかどうかの判断をどうやって行うのがいいか、具体的にお話ししましょう。もう一つチャートを見てください。

[画像のクリックで拡大表示]

米国株式の値動きを、GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック=現メタ、アップル、マイクロソフト)、S&P500、NASDAQで見たグラフですね。

居林:22年は何がやられたって、ハイテクが大やられしたわけですよ。グラフでは赤がGAFAMです。ここが20年から新型コロナ特需で米国株式を引っぱって、そして22年に入って盛大に下落した。今やS&P500を下回るパフォーマンスになっています。

NASDAQがまったく振るわないのは、ここにGAFAMが含まれているからでもありますよね。

居林:はい、ほぼイコールで悪くなっているわけです。なので、簡単に言うと「ハイテクが戻れば米国の、そして世界の株式市場が戻る」ということが分かる。じゃあ、ハイテクの先行きを何で見るか、というと……。

ああ、なるほど、分かりました。

次ページ 債券市場と株式市場との違いを理解しよう