経済を支えてきた要素が次々とひっくり返った年でした
2022年、最後のインタビューです。投資家の目から振り返ると、今年はどんな年だったのでしょう。
居林:株式と債券のマーケット両方が下がって新型コロナウイルス禍の上昇分が「ご破算に願いましては」となってしまった年、ですね。特にハイテク、成長株が大きく下落した1年でした。
ウクライナ危機、金融政策面ではインフレ警戒による金利上昇、量的金融緩和の終わり、そして企業業績の先行き不安、はっきり言えば不況を織り込みに行く展開。今までの経済を支えてきた要素がオセロのようにひっくり返っている。
さんざんでしたと。
居林:金利が上がって、債券価格が下がって、株価が下がる。そんなひどい年だったのですが、その最大のきっかけであるウクライナ危機は、見方を変えれば、グローバル化からブロック化への移行、世界経済の立て直しへの転換を促したと捉えることもできます。
前回(「ビッグマック激安の日本、輸出企業の株価は動くのか?」)触れたように、それは日本が製造立国へ回復する道のりの始まりでもあるし、新しいことをやらなきゃだめだよねという機運の高まりでもあると思うんですね。
なるほど。
居林:みんなの気持ちが変わり始めた年で、これから23年にかけて新しい種をまいて、次の年ぐらいに花が咲く。そういう意味では、22年は市場はさんざんでしたが、23年は決して悪い年だと思っていません。
じゃ、投資のチャンスが来るんでしょうか。
居林:ただし「じゃあ、今、投資すれば結果が出るか」というと、そうでもない。短期的には慎重に考えています。
フタコブラクダのような図ですね。
居林:まさしく。おそらく私たちは、フタコブラクダのコブの真ん中にいるのです。「やっと1つ終わった。でももう1つ来るぞ」と、我々は考えています。
インフレと利上げは乗り越えたけれど、ここから景気後退が来る。
居林:景気後退、企業業績の低下がどこまで深くなるのかはまだはっきりしません。私たちの予想だと、23年第1四半期、第2四半期は景気の谷に向かってGDP(国内総生産)が落ちていく、企業業績もたぶん落ちていく。株価がそれをはね返すには、まだ力不足だろうと。
はね返すメドが立つのはいつくらいでしょう。
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