優先度の順位が低いから、ある意味気軽に見切りやすいってことですね。「不穏だな」「ヤバそうだな」と思ったら、さっさと別のマーケットに資金を移す。ちゃんと考えていない、というよりは、代替案が多いから深く考える必要がない。日本市場にとっては、結果は同じかもしれませんけれど。
居林:「米国株のほうがよく分かる」とか、確信度が高ければそっちにいけばいいので、海外投資家にとって、理解度がわざわざ高くないところを買う必要は別にないですよね。はっきり言うと。
そして、そんな人たちに日本市場は動かされているわけですね。
居林:それは日本のマーケットのトレーディングボリュームの70%は海外投資家だからです。でも、そこに私たちがつけ込む隙があるわけですよ。よく見ていると、下がったときに買っているのは個人投資家の方なんですね。あの11年もそうでした。基本的には個人と海外投資家さんというのは売買動向がほぼ正反対。
おお。
海外投資家と日本の投資家の動きが正反対になる理由
居林:これはぜひ言っておきたい。日本の個人の投資家の人は日本株のことをやっぱり分かっていて、今回もそうですけれども、海外投資家が売って下がったところを買っているのは、日本の個人の方なんですね。
なるほど。業績と株価のズレを読み取って買っている。
居林:日本の個人投資家が、日本のマーケットのトレーディングボリュームの過半を占めていれば、こんなことはたぶん起きないんです。
ズレが起きない、起きにくいだろうと。
居林:00年からこっち、03年の竹中平蔵さんの改革以降、海外投資家さんが入ってきて、10%だった保有率が30%まで上がりました。トレーディングボリュームで言えば40%だったのが70%になりました。
昔は銀行が持ち合い株でがっちり押さえ込んでいたのが。
居林:その結果、こういう面白い、面白いというよりは、奇妙な、いびつなマーケットが生まれました。外国人投資家さんが多い一方、日本の個人投資家もちゃんといるという。
そこで短期的な投資のチャンス、業績と株価の乖離が生まれやすくなったということですね。ウクライナ侵攻でもそれが起こった。あれ、そうなると、海外の、例えば米国市場では、ギャップが生まれにくいということになりますか。
居林:はい、日本市場(赤が業績、茶が株価)と米国市場(最初にお見せした図、赤が業績で白が株価)を比べてみると、全体の動きは似ていますが、米国の株価のほうがより業績の線に沿っていて、線の上下を行ったり来たりすることが少ないように見えませんか。
トレンドはまずまず合っている感じですね。
居林:日本みたいに激しく行ったり来たりしませんよね。
なるほど。よく分かりました。
居林:今回について言えば、人道、政治的な問題はさておき、そもそもロシアとウクライナを足しても世界のGDPの2%しかありません。それほど怖がる必要はない、というのが私たちの意見でした。
いつもは個別の銘柄の話はしないのですが、ちょっとサンプルを見てみましょう。例えばルネサスです。
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