修業ですか(笑)。この連載を読み直していただくだけでも効き目はあると思いますが、具体的には?
居林:今回の下落は、ブラックマンデー(1987年10月19日)、アジア通貨危機(97年7月~)とか、ITバブル崩壊(2000年末~)とか、リーマン・ショック(08年9月)とか、新型コロナ(20年3月19日に1万6552円)とかで、ずっとやってきた話です。
そういう修羅場を経験してきた投資家の方は「また来たな」と気を引き締めると同時に、相場の急激な下落に対してもパニックになることなく、売られ過ぎのサインを探し、相場と対峙するような時間を過ごしたのではないでしょうか。
ついでに言いますと、今回の売られすぎのサインは私にとってはマザーズの700ポイント割れで、これが止まれば戻るタイミングだなと思っていました。この間、UBS WM CIOという私の所属するところからいくつかリポートを出していますが、日経平均の企業業績予想はかなりの余裕をもって23年には過去最高益を更新できそうでしたので、投資するセクターは少しサービスセクター寄りに変更したものの強気の推奨を続けました。
(詳細はこちらをご覧ください)
戦争が続いている状況なので、あくまで「市場」に限定しての発言とお考えいただきたいのですが、非常にいいトレーニングの場だったと思います。株価は、予想業績の関数である、という自分の投資の考え方で今回も乗り切れた、と思っているわけです。
考えてみれば、国土に戦災級のダメージを与えた「3.11」からも株価は立ち直ってきたわけですし(11年3月15日の終値は8605円)。
参考記事:日経平均:読む・知る・学ぶ より「東日本大震災」
居林:そうです。多くの投資家が「日本、もう終わった」とパニックになって、企業業績とは大きく乖離(かいり)した株価になりました。そんなときでも「本当にそうなの?」と、自分で考えることができるかどうか、必要なのはそれだけでありまして。
マスを握る海外投資家は「分かってる」のか?
一つ、ふっと思い付いた疑問なんですけど、海外の方が日本に来て地震を体験すると、すごく驚くそうですよね。なんで日本人はこんなことに平気でいられるんだ?と。
居林:ああ、そう言いますよね。
そして、今、日本の株式市場は基本的に海外の投資家が動かしている。つまり彼らの「誤解」が、実態と株価との乖離を生むわけじゃないですか。
居林:まあ、多くはそうですね。
地震への慣れもそうですが、日本に住んでいる投資家と、海外の投資家さんとの、企業業績への理解度の差、というのがありそうですよね。
居林:ありますね。
海外投資家は、あまりちゃんと個々の銘柄を見ていなくて、それこそ雰囲気に振り回されがち、だったりするのでしょうか。
居林:そうとも言えますが、実は順位付けの問題ではないかと思いますよ。
順位付け。
居林:海外投資家は別に日本株を買わなくてもいいわけです。他にオプションがいっぱいあるわけですよ。中国株でもいいし、インドネシア株でもいいし、シンガポール株でも、中国株でも、もちろん米国株でもカナダ株でもいいわけなので、そっちに流れやすいと考えたほうがいい。
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