2月24日から始まったロシアによるウクライナ侵攻。事態の解説・分析は別のコラムが充実しておりますので、一刻も早い終結を祈りつつ、本連載では投資家の目から何を学べるかを語っていただきたいと思います。
居林:了解いたしました。
ウクライナ侵攻を受けて日経平均株価は下がり始め、年初来安値(3月9日、2万4717円)を付けました。1月5日の2万9332円から約5000円下げたわけですが、その後2万7000円台まで戻しています。さて。
居林:株式相場の学び方には2つの側面、1つは心理的アプローチ、2つ目は数値からのアプローチがあります。今回は心理的アプローチを考えていきたいですが、ウクライナ危機から学べることは、「やっぱり怖いときに頑張って買わないとだめだよね」ということではないでしょうか。では、何を見て頑張るのか、頑張る根拠は何かをお話ししたいです。
「市場が間違えたときに、胃薬を飲んで、自らの判断に従え」ですね。連載で繰り返しおっしゃっている。
居林:今回も煎じ詰めるとそこにいきます。ウクライナ侵攻で「マーケットってやっぱり怖いものだということが分かりました」。それはいい、でも、その怖さを乗り越えないと先はない。
居林:グラフを見てください。2021年に日経平均は3万円の大台を回復して、喜んでいたら、なんと6000円も下がってしまいました。
この、どーんと下がっていく最中で買いにいくのはちょっと難しいんじゃないですかね。
居林:でも歴史を振りかえれば、繰り返して出現するよくある話なのですよ。
居林:これは米国市場のパターンですけれども、常にこういうことがあるわけです。それを前提にマーケットを見ていないと、普段はうまくやっていても、下げるタイミングで「どーんと負けた」とパニックになってしまって、すべてを失ってしまうこともあるわけです。
本連載のタイトル「ときどき台風」ですね。暴風雨の中で「もう晴天は戻ってこないのでは」と絶望して、損切りのつもりで売ってしまう。ところが……。
居林:「悪いニュースは早く伝わる」というのが英語の相場格言であります。“bad news travels fast”ですね。下がるときはみんな我先に売るわけです。
そして、何度も何度も言いますけど、株価というのは、株を持っている人の中で、ごく一部の人が付けたプライスなのです。そのごく一部の人の判断に、自分が影響されるかされないか。ここが大きなポイントです。
(懐かしの連載第1回→「大荒れ相場? いえ、これって“普通”です。」)
影響されてしまう人は、「下がっているということは、自分には分からないけれど、何か悪いことが起きているんだろう」という思考、といいますか、頭で考えずに、パニックに襲われて反応をしているわけですね。
それがまた、別の人の「あっ、また下がった、まずい!」という反応を誘発するわけか。
居林:そうです。でも、落ち着いて考えれば(ごく少数の)他人のとっさの判断は、株式の価値とは実はまったく関係がないかもしれません。「下がっているから悪いことがあるんだ」と自己暗示にかかる人は、正直、投資家には向いてないかもしれませんね。
あらら。
居林:でも、人間としてはそのほうが自然な姿かもしれません。ならば、修業をしましょうと。
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