読者の皆様、居林さん、明けましておめでとうございます。

居林:おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

この連載も2022年の2月で、まる6年になります。さあ、今回は何の話をしていただきましょうか。

居林:まあ、第1回(「大荒れ相場? いえ、これって“普通”です」)から6年間、飽きもせずずっと同じ話をしているわけですが(笑)。

いやいや(笑)。

居林:私は株式市場は、企業業績のトレンドに沿って動くと考えています。多くのニュースヘッドラインは企業収益全体には影響がないので株価を一時的に動かすものの、時間がたつとインパクトが劇的に落ちていく。例えば、中国の不動産会社がどうしたとか、米中対立がどうしたとかいうのは、あまり関係ないのである、と。

それを最初に言っちゃったらもう終わるじゃないですか、話が(笑)。

居林:はい、前回(「31年ぶりの高値、株式市場は3万円を維持できるか?」)もこんな結論で終わっていたはずですよね。実際にはその不動産会社としては大きな問題かもしれませんが、日本の株式市場にとってはニュースのインパクトは急速に少なくなっているように思います。もともと日本の企業収益に大きなインパクトがある話しではないのに、株式市場が一時的に反応していたからでしょう。

振り返るに、「市場が大きく動いた」タイミングで居林さんのお話を伺い「それは市場の“間違いです”」という結論に終わり、結果もその通り、というパターンをこの6年間に何度となく繰り返しているように思えます。なんでこうなるんでしょうね。

居林:なぜかというと、株式市場というのは、これは「居林の5つの投資心得」の4なんですけれども、株式市場は……株式投資家はと言い換えてもいいかもしれません、投資家は、何らかのイベントがあったときに、それが「長期的なインパクトを持つ」のか、「短期的なインパクトで済む」のかを、判断しないから、なのですよ。

 人間は目の前の物に反射的に反応してしまうから、とでも言いましょうか。株式市場に記憶はないといいますが、それも同じだと思います。「同じことを繰り返しているのだから、投資家としては過去の市場の反応と自分の反応を記録し、比較して学習することで経験値を上げることができるのだ」と、言い続けてきました。

日々の事件を気にしなければ、仕事は楽か?

リーマン・ショック(2008年9月)、あるいは東日本大震災(11年3月)。資本主義は終わる、日本経済は終末、くらいのメンタルが市場を覆っていました。あそこで買っておけば……。

居林:その2つはかなり極端かもしれませんが、今回の中国の不動産会社の話にしても、ブレグジット(英国のEU離脱、16年に国民投票で可決)にしても、米国のトランプ大統領就任(任期:17年1月~21年1月)にしても、そんなに世界の企業全体の収益をどかんと下げてしまうような問題ではありませんでした。でも、皆さん「これは大変だ」と、心配されるのですよ。

「なんかいつも空振りだけど、みんなが心配するのだろうから、自分も売っておこう」みたいなことになっているんでしょうかね。

居林:でもそこで、自分の判断を信じて買いに出るのは度胸がいると思いませんか。

確かに。居林さんがよく言われる「心に勇気、右手に胃薬」ですね。

居林:そんな言い方しましたっけ(笑)。ともあれ、「その事件は大変だけど、それが日本の企業の業績にとって本当に問題なのか」を考えようね、というのが、よく論点になりますよね。なので、「居林の仕事は楽でよろしいね」と言われる方もいらっしゃいまして。

え。

居林:「お前はそういう日々の事件をあまり気にしないんだろう、じゃ、いったい何をやっているんだ?」ということですね。直近で言えば変異ウイルスのオミクロンとかですかね。スパイクタンパク質がいくつ変異したとかは、確かにあまり気にしておりません。私の投資家としてのアテンションはそういうところにはないのです。

じゃあ、居林さんは何に時間を使っているのでしょうか。

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