日経平均がまた3万円を超えて動いています。4月5日に3万円を超えてから足踏みして、前回の記事(6月11日掲載「『プールは満水、それでも不安』金融引き締めは投資チャンスかも」)では、「2万8000円を割るのは下げすぎ、投資チャンス」という話をされて、そこから実はずっと……。
居林:8月の真ん中ぐらいまで、2万7000円を付けるところまで下がりまして、「居林の話と全然合ってないじゃないか」という状況がしばらく続いたわけですが、その間、私の確信度は実は上がっていて、「これで準備はOK、なにかきっかけがあればくるな」と思っていました。
なるほど。じゃあ今回はハナ高だかで「どうだ見たか」というお話しを。
居林:いえいえ、超控えめに、いつもの「株価は企業業績の関数」のお話をしようと思います。今回もいくつか珍しいポイントはあったものの、結局は同じだったからです。
控えめですね(笑)。でも、どうして確信度が増していったんですか? それが今日のポイントですよね。
居林:はい、業績予想が上昇しているのにそれとは関係のないニュースで株価が下落していたからです。今回は、政治の不透明感と新型コロナの変異ウイルスの感染拡大があったわけですが、企業業績は逆に上昇し続けています。予想PER(茶色の線、株価収益率、株価/1株当たり純利益)と日経平均(黒の線)の比較。これが大切な理由は何度かお話しさせていただきましたよね。
これだけ長く連載担当をやらせていただくと、さすがに忘れません。「株価は業績の関数」だから、ですね。株価はニュースや思惑、いろいろな要素で動くけれど、最終的には将来業績予想で説明できる、という。
居林:その通りです。このグラフは2018年からしか載ってないので、2つのグラフが離れている期間があるように見えるんですが、長い期間で見ればよく当てはまります。2020年のコロナショックのときは「下がり過ぎ」、2021年の頭は「いくら何でも上がり過ぎ」という話をしていたのは、この業績の線がベースラインとしてあるからです。
「前代未聞」、実は前にもあった話
2020年初には、確かに悪いことは起きていました。新型コロナという「前代未聞の話」があったわけですが、前代未聞の話というのは過去にもあるわけですね。リーマン・ショックもそうだし、東日本大震災も。もちろん、震災の被害がすべて取り戻せたわけでは決してないですが、人間というのは素晴らしいことに、前代未聞の災害に対応できるわけです。例えばリーマン・ショックのときには「資本主義が終わるんだ」と、大震災のときは「日本経済は終わるんだ」と言う人がいました。資本主義が終わるか、株価が戻るか。どちらかに賭けるのであれば、私は株価が戻るほうを選んだわけです。
なるほど(笑)。
居林:それと一緒ですよね。31年ぶりの高値に今、株価はいるわけですし、歴史から学ぶことは重要です。機関投資家が有利な点の1つに、過去の事例の蓄積がすぐに手に入ることがあります。会社が用意しているか、あるいは情報サービスで、現在の状況とよく似た過去の事例で業績と株価へのインパクトの関連をすぐ引っ張り出せるんですね。
ということで、今年のお話です。
居林:2021年2月16日の3万467円という高値、これは「業績のサポートのない3万円」と私は呼んでいますが、これを付けた後、5月13日に1回クラッシュが起きまして2万8000円を割りました。6月に戻りかかって、6月21日にもう1回クラッシュが来たんですね。
そこから8月20日まで下げ基調が続きました。
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