日経平均は2月に何度か3万円を超えた後、5月13日に2万7448円まで下がって、再上昇のチャンスをうかがっている感じです。
居林:今年、3万円を超えたときに市場が認識していたロジックは、「このまま業績はよくなり続けますね」「円は安いですね」「ワクチン接種、始まりそうですね」というものでした。よって「3万円を大きく超えて3万5000円、4万円になるかもしれない」という話まであったわけです。
ちょっと間が空いてしまいましたけれど、前回(2021年3月23日掲載「『ああ、分かっていたのに』流動性相場の注目サインは何か」)では、こんなお話を伺っています。
- 低金利(=中央銀行が行っている量的緩和政策の結果)の先行きが注目されているけれど、金利水準が十二分に低い現状では、むしろ流動性(=資金が今後も株式市場に流れ込むか、他に逃げるか)に注目すべきだ
- 各国の政策がつくりだした流動性が予想PER(株価収益率、株価が1株当たり当期純利益の何倍かを示す)を押し上げている
- 現在の株式市場は何階建てかになっていて、「IT機器」「耐久財」「建機」「工作機械」、そしてワクチン接種への期待から「娯楽、サービス」と、続々と需要の波が訪れている。
居林:はい、そうでした。
「結論として、日経平均3万円でいったん壁に当たるのではないかと。株価の好材料はほぼ反映されていて、あとは割安なバリュー株がどこまで行けるかの勝負になっているように思います」とおっしゃっていました。
株価は思ったより低位に
居林:そこで2カ月半後に答え合わせをしてみますと、企業の業績予想はどんどん上がっているのに、なぜか株価が10%近く調整しています。「あれ、どうしたかな」というのが今回のお題です。
なるほど。あ、外国人投資家はいかがですか。
居林:たぶん買いませんよ、というお話を昨年末の回(20年12月24日「日経平均は来年どこまで上がるのか?」)で申し上げましたよね。日本企業の存在感はMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが出している指数の総称。先進国、新興国まで約70カ国の株式市場をカバーし、世界の投資家が参考にしている)の中でどんどん下がってまして、先月、MSCIは日本企業をMSCIスタンダード・インデックスから29銘柄も除き、1銘柄も付け加えなかったというすごい発表をしました。
あっ、これがもしかして。
居林:はい、5月13日の急落のトリガーの1つになりましたね。ただし、入れ替えはもうすんでいますので、売り圧力も1回終わっています。
3月時点で予測できなかったことがあるとしたら、個人消費回復の切り札、ワクチン接種の遅れでしょうか。こんなに遅くなるとは思いませんでした。思ったより遅れていることが、株価の足を引っ張っていることはあるかもしれません。しかし、これが決定的な要因かというと、違うように思います。
では何が。
居林:中央銀行のテーパリングではないかと。一つ注意していただきたいのは、テーパリングそのものではなくて、「テーパリングの受け止め方の勘違い」が原因だと思っているということです。
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