居林:実際にこのうちいくらが株式市場に回るのかは誰も分かりません。けれども「きっと回るだろう」と誰かが思うんですよね。だから先回りして買う人がきっといるんです。
 なので、流動性はまだ大丈夫そうです。でもこれが落ち始めたら注意であります。

 言いたいことはこういうことです。皆さん、金利の話をずっとここ何週間かなさっています。金利→為替→経済→業績→株価という経路の確認も大切ですが、米国の長期金利は2%を大きく超えないと思うし、FEDが流動性を引き下げるということも考えづらいので、金利の議論「だけ」やっても株にはあまり関係はないと思っていまして、「流動性」だと思ったほうが分かりやすいですよ、と。

分かりました。

居林:流動性の話は続きがあります。株価=予想企業業績×予想PER(株価収益率、株価が1株当たり当期純利益の何倍かを示す)というフレームワークで考えると、今まで話してきた流動性の話は、PERを押し上げることになります。

 予想PERは何ぞやというと、実はこれはなかなか難しい。「株価のうち予想業績で説明できないものが全部入っている」というのが答えで、その時々で変動要因が違うのです。

うーん。そうとしか答えようがない、ということですかね。

「ああ、サインは出ていたのに」

居林:私は昨年10月からの株式市場の上昇の大きな部分はコロナ禍対応の政策で作り出された流動性がPERを押し上げていると認識しているので、流動性は大切で、その流動性がどこまでPERを押し上げるのかも重要な論点だと思っています。なので、流動性がどこまで続くのか、は本当に知りたいことのひとつです。

 長年相場を見ていると、このような流動性相場というのは何度かありました。その度に思うことは、「ほかのマーケットではサインが出てたのにな」と悔やむことです。その思いを基に、今回の相場では私は商品相場をかなり注意して見ています。実は、株式市場というのは実体経済の「今」とかなり切り離されているからです。

予測される期待値を「市場参加者がどう見るか」の先読みで形成されているから、ですね。

居林:そうです。現実の経済の動き、実体経済と株式市場の中間くらいにあるのが商品相場ではないかと私は思っています。

 銅でも金でも銀でも鉄でもいいのですけれども、私はCRB指数(米国の商品先物取引所などで売買されている商品価格から算出された国際商品先物指数。「ロイター/ジェフリーズCRB指数」と呼ばれる)のインダストリアルロー、工業コモディティー指数を見ています。コモディティーには実需があるので、マネーの流動性だけで上がっていくわけではない。実体経済の強さと流動性が両方が見えるマーケットだということですね。

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居林:世界のコモディティー市場は2018年から2020年の真ん中まで大きく下がって、そこからお釣りが来るぐらい上がっている。

 何を言いたいかというと、流動性とファンダメンタルズ、取りあえずどちらも当面は強いんだなということを示唆しているように思います。

ということは、市場はまだまだ大丈夫そうなんでしょうか。

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