ここまでの居林さんのお考えを勝手に整理すると、株価はハイテク株が支えてきた。でも一度息切れして下がる。でもワクチンの接種開始などで日常生活がある程度戻ってきて、人々の暮らしに根ざしたハイテク株以外が上がり出す、と思っていた。だけど、意外に早く、ハイテク株以外が上がり出した。そんな感じですか。

居林:そうですね。ハイテク株以外の値上がりは夏くらいからかなと考えていました。現状は、ハイテク株が一服、バリュー株が日経平均を引き上げています。これが日経平均株価が私の予想よりも上がっている理由だと思います。

 良いことが続いたマーケットということになります。昔、株式マーケットは白い球と黒い球の入っているツボの中から1つずつ球を取り出していくのに似ている、という話をしましたが、白い球が連続して出ているなという認識です。

 しかし、ここまでバリュー株(≒ハイテク株以外)があまりにも出遅れている、そして業績が回復してきているので、それはそれで根拠があると評価できる動きではないかなと思っていて、バリュー株を買うのは当面正しい戦略だと思います。

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居林:こんな図を用意しました。半導体と自動車販売の比較です。半導体というのは2019年に大変な時代を経験して、コロナが起きた2020年には逆に恩恵を受けた、そんな代表銘柄なわけですよね。

去年から今年にかけて、パソコンを買い替え、モニターを買い替え、タブレットを買い、光回線を引き……と、自分でもさんざんお金を使いました。

居林:一方、自動車販売というのは、個人消費の大きなものの代表格なわけですけど、昨年5月に大変な数字を出しまして、世界自動車販売でマイナス38%。反動でプラスに転じたのが9月ぐらいで、その後、プラスをぎりぎり維持しているわけですが、この後、4月、5月、6月になると何が起きるでしょうか。

順当にいけば前年比でぐわっと上がるでしょうね。

居林:はい、昨年凹んだ時期との比較になるので前年同期比でプラス30%とか40%とかになるわけですよ。半導体を見ても分かるように、マイナスだった人も耐えていればいつかいい日が来ると、そういうときがあるという、何て言うんでしたっけね、こういうの。ああ「待てば海路の日和あり」ですね。

 そんな感じで、ざっくり言うと「コロナでひどい目に遭った業界が日の目を見るのではないか」というテーマで、リポートを先週書いたんですよ。前年同期比での改善度合いが大きいこと、それから、この後気温が上がってワクチン接種が始まって、それが世界中で同時進行なわけで、峰宗太郎先生のお話を聴いていると、どうやらいけそうだと。世界は峰先生の著書を読むべきであると私は思います。

ありがとうございます。『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』、よろしくお願いいたします。

上位20銘柄だけ買えばよかったマーケット

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居林:これは2月第1週(1~5日)の日経平均の分析です。左側の図、2020年初からの日経平均の上昇分、この時点で5955円のうち、構成銘柄の上位20銘柄だけで5134円分に当たるんです。

ほぼ全部ですね。ほかの人たちはまったくいらないという……。

居林:日経平均銘柄は225のうち20だけ持っていればよろしいと(笑)。時価総額平均ではありませんし、流動性平均でもなくて、株価平均という方式を採っているので偏るんですね。おまけにこの上位の銘柄群はほぼ全員グロース、ハイテク株であると。例外はユニクロぐらいなものですかね。その銘柄が買われることによって日経平均が上がり、それによってまた銘柄が買われる。買いが買いを呼んでいたわけです。

 日経平均を買えばいい、日経平均のうち20銘柄を買っておけばさらによろしい、パフォーマンスはばっちりであるという、こうしたマーケットの展開が個人的にはあまり好きではないんです。何かおかしい、これは続かないよと思っていたら、ハイテク株の息切れ前に、物色がずいぶん変わり始めて、サービス産業、個人消費銘柄にお金が動き始めました。そして製造業も頑張っている。最新のトヨタの決算などを見ると本当にそう思います。ハイテク銘柄をさくっと利食っていただきまして、そういうのを買っていただくのがいいのではないかなと。

個別銘柄はこのコラムでは基本的に扱わないわけですが、ヒントはありませんか。

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