(※この記事は2月9日に行われたインタビューから構成しています)
予想を上回るほどの業績改善が見えるわけでもないのに、株価が根拠なく上がり過ぎ、要するにバブルではないかという指摘も増えてきました。
居林:昨年末に「上値は2万7000円」と言っていた(「日経平均は来年どこまで上がるのか?」)のを、今日(2月9日)のマーケットを受けて、3万円まで「高値」を切り上げなきゃいけないかなという気がしてきました。
おおっ、それは……。
居林:ただし、「3万円」というところだけ切り取って考えないでください。しつこく言っていますが、日本の株価は年間で上下必ず20%を超える値動きがあるのです。なので、引き続き「上値はあまりなくて、下値がある」という状況に変わりはありません。
今年の初日が2万7000円として、プラスマイナスざっと3000円、上下幅6000円ぐらいあるんだよということですね。
居林:そう、「2万4000円もある」ということですよ。
でも、3万円超えもあり得ると。
居林:私の昨年までの予想とは違いますが、可能性はあります。今日は、私が何を間違えたと思っていて、どうしようと思っているのか、というお話をしたいと思います。
まず、日本企業の業績の推移は10-12月期の実績がほぼ出ましたが、私の予想よりも若干強いくらいで大きな驚きはありません。強いて言えば、2020年夏まで業績が非常に悪かった企業の回復が顕著なことです。しかし、株価の方は予想を超えて3万円が視野に入ってきています。投資家の期待度、自信度を表すPER(株価収益率)が上昇しています。
放置されていたグループの逆襲が始まる
今まで株式マーケットを引っ張ってきていたのはハイテク株でしたよね。
居林:はい。実はハイテク株、ほぼイコール「グロース株」ですね、これがまず高値圏に行き過ぎて、若干下がるんじゃないかなと思っていたんです。ところがその前に、今日の1つ目のポイントになりますけれども、それ以外の株、つまり「バリュー株」の上昇が始まった。ということだと思います。私が思っていたより若干早い展開になりました。まだワクチンの接種も日本では始まらず、感染者数が心配ないレベルに下がったわけでもないし、緊急事態宣言が延長された中でも、です。
そもそも、グロース株は業績の成長性を、バリュー株は急成長は期待しにくいけれど、割安感を買う銘柄、ですよね。
居林:はい。
つまり、今で言うと自動車や食品、鉄鋼、建設、海運、インフラ系とか。出遅れ株ってやつですかね。
居林:そうですね、今回のコロナ禍の中では旅行関係(空運、ホテル、旅行会社)や飲食なども大きな打撃を受けましたから、そのような関係も出遅れ株として認識できますよね。ここではバリュー株、グロース株というとかえって分かりにくいので「ハイテク株」と「それ以外(とくに個人消費系)」と言ってしまいましょう。昨年の日経平均はハイテク株が支えてきました。それに対して、「さすがに業績に対する株価水準=PERが高過ぎない?」という声と「それ以外を顧みな過ぎじゃない?」という私の認識でした。
なるほど。
居林:去年のこの連載は、「ハイテク株はまだいけるのか、もういけないのか」という話の代替変数として日経平均を扱っていた側面があります。実は先週「この潮目が変わりますよ」というリポートを出しまして、その中に載せたのがこちらです。
青のバリュー株、すなわちここで言う「ハイテク以外」がきゅっと上がってます。
居林:はい。いよいよ「ハイテク以外」の逆襲が始まった、それゆえ上値がまだあるだろう、というのが今回のテーマというわけです。今の株式市場は2階建て構造になっていて、ハイテク株の上昇の上に、ハイテク株以外の出遅れ銘柄の回復、が載っていると思っています。
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