(パソコンの画面に向かって)おつかれさまです。今回もよろしくお願いいたします。前回(債券市場×ウルトラマン=株式市場高騰)はたいへん多くの方に読んでいただいて、しかも好評でした……あれ、あまりうれしそうではないですね。

居林:はい、よく読んでいただけたというのは大変うれしいのですが、どなたからもコメントがいただけなかったので、いろいろ盛り込みすぎて焦点ぼけした内容だったかな、と、反省しているところなのです。

それはそれは(笑)。居林さんからのレスポンスはお約束できませんが、感想やご意見など、よろしかったらぜひコメント欄にお寄せください。連載フォロー(連載タイトル右上にボタン)も大歓迎です。

居林:今回は、株式市場にピントを絞ってお話しできたらなと思っています。前半は海外投資家の動向の不都合な真実の話、後半は、居林が日経平均の予想をどうやって作っているのか、という話をしたいと思います。

 2020年を振り返ると、新型コロナ禍に襲われて1万6000円台まで暴落(3月19日、1万6552円)したのも今は昔、居林さんが指摘されていた(新型コロナショックは投資機会か?)通り、まさに千載一遇のごとき投資のチャンスの年だったわけですね。

居林:ええ、4月末の時点では「年末は2万2000円」というターゲットを「据え置く」としたんですが、それでもかなり強気に見られましたね。その後、8月に再度強気になり、日経平均のターゲットは数回切り上げました。

さて、居林さんは来年をどう見ているのでしょうか。

上値は2万7000円、そのわけは

居林:現在の私の来年のターゲットは2万7000円、強気ケースでも2万8000円なので、「上値はあまりない」と思っている側になると思います。

今や「3万円台も狙える」という声が出ていますよね。前回は、世界的な金利低下で、債券などのマーケットからお金が株式市場に流入し、相場をさらに過熱させている、というお話でしたけど。

居林:はい。では、これがずっといつまでも続くのかというと、そうでもないのですよね、残念ながら。

続かないんでしょうか。

居林:では、今日はその話題から。一般論に直すと「上値の見極め方」というテーマになると思います。 

上昇局面、まさに現在のような市場で「いつ売るか」ですね。

居林:もちろん、いついかなる時でも通用する解はありませんから、ケース・バイ・ケースで見る必要があると思っています。とはいえ考え方のパターンは存在します。

 必要条件と十分条件の2つを考えるとよいと思います。株式市場の上昇が続いてPER(株価収益率、後述)などの株価バリュエーションでは割高であっても、それで株価が下落に転じるのかというと、そうでもありません。株価が割高であるというのは、強気相場の終わりの必要条件であり、十分条件ではないからです。強気相場が終わるには、市場が予測していなかった「新たな悪材料」が出てくることが十分条件になると思っています。

 今回の局面では、(予想)PERなどが過去と比べて高いという、株価が下落局面に転ずる必要条件は満たしています。では十分条件は何があるのでしょうか。

 2020年の11月から12月前半までは「海外投資家の買い戻し」が株式相場の上昇に大きく寄与しました。前回のこのコラムでも、米国の低金利が、債券市場から株式市場に資金が流れる原因になっているというお話をしましたよね。そのお金が日本株にもようやく入ってきたのがここ数カ月でした。これで日本株は11月は15%を超える上昇率となり、「この分なら来年もよい年になるのではないか」、と投資家の期待が維持されている状態だと見ています。

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