居林:もう1つの強気論の根拠は、今回の大暴落の底値で買えた人はおそらくそれほどいないことです。私自身も「いくらなんでも手が出ない」というのはとてもよく分かりますし、証拠金が足らなくなって、泣く泣く手放した方も相当いたでしょう。その結果「世の中に、株でリベンジしたい待機資金がいっぱいある」という論があり得ますね。

あー、これは感覚的には分からなくもないですね。

居林:でも、もうお気づきの方も多いと思いますが、はっきり言うと中央銀行のバランスシート論のミクロバージョンですね。

 あともう1個くらいあるな。そうだ、コロナ禍後の世界というのは、リモートワークなどでより効率化して生産性が上がるぞ、という考え方ですね。経済全体でそれを言えるのかというのは、よく分かりませんけれども、業界、業種によっては成り立つところもあるかもしれません。このくらいではないでしょうか。

コロナ禍で見えなかった悪材料が見えてくる

ありがとうございました。あ、弱気派の居林さんももっと先を考えていたりしますか?

居林:(笑)。Yさんともずっとオンラインでインタビューしていただいていて、しばらくお会いできていませんよね。久しぶりに会ったら、日常というものの貴重さを再認識できて、それはそれで素晴らしい。ですけれども、コロナ自粛の(ひとまずの)終わり、というのは、あまりに大きなマイナス材料からプラス材料への転換なので、ほかのマイナス材料を見落としてはいませんか、というのが弱気派居林の意見です。

なるほど(笑)。

居林:簡単に言うと、ちっちゃな音というのは大きな音にかき消されるんですね。こうして話しているときに救急車の音がピーポー、ピーポーと入ってきたら、普通の時の声は聞こえなくなってしまう。ところが、救急車が通り過ぎたら、ちっちゃな音が出てくるんですよ。そのちっちゃな音というのはちゃんと意味があるんですよ。例えば米中間の緊張はいっこうに緩和されていない。米国の暴動は、私にはトランプ大統領の再選を危うくするように見えます。そうなると法人税がまた上がるのかもしれない。

 これは平時のマーケットだったら相当大きな話なんです。だけど、コロナのインパクトがあまりにも大きいので、どこかにいっちゃっています。そこが気になりますね。

(※記事中の図の出所はすべてUBS)

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