居林:そうなんです。だから一歩二歩先の展開まで頑張って考えておくんです(当たらないとしても)。そこが大切です。 今は、自分が納得したところで投資判断に至るじゃないですか。でもそこで思考が終わったら次の展開を外したときに動揺するんですよ。それが、衝動的な投資判断につながって、上がったところで慌てて買ったり、下がったところでパニックになって売ったり、につながるんじゃないでしょうか。これは単なる私の推論ですけれど。

いや、説得力がありますね。つまり自分で仮説も何も考えてないから、新しい話が出てくるたびに、どひゃーっと慌てて急ハンドルを切って、スピンしたり崖に突っ込んだりしてしまう。

居林:投資判断が正しいか、正しくないかと、マーケットの反応は別なんです。これを言っても分からない方が多いので、今回を奇貨として長々とお話しさせていただきました。「損切りって大事ですよね」と言う方は多いですし、正しいのですが、中には「それは損切りじゃなくて、動揺による心理的プレッシャーからの刹那的投資判断」というケースがけっこうあるんです。

強気派の思考をシミュレーション

要するに自爆ですね。それは悲しい。居林さん、もうひとつだけいいですか。さっき途中までいった「強気派の居林」の理屈を、現状でもう一、二段階突っ込むとしたら、どんなことが考えられるでしょう。

居林:私の頭の中を見ようとしていますね。たいへん結構ですね(笑)。強気の論拠の1つは、「やっぱり中央銀行のバランスシートは再拡大フェーズである」ということでしょう。

 リーマン・ショックから10年間、再拡大をしてきて、米国株がずっと上がってきて、日本株もそれなりに上がってきたことで、「中央銀行のバランスシートが拡大したときには、株価が上がるのである」という経験則がすでに存在すると思います。

なるほど。では弱気派の居林さんはどう再々反論しますか。

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居林:その理屈は分からないではないけれども、結局は正しくないと思います。正しいのであれば日本はもっとインフレになっていると思います。つまり、中央銀行のバランスシート拡大は、投資家心理を上向きにして、金融恐慌を防ぐ効果はあるかもしれないけれども、株価を現状からコロナ以前にまで押し上げるのは無理がある。というのが私の再々反論ですね。

 上図を見るとMSCI world(世界主要国約1600銘柄の株価指数)は上がっているものの、TOPIXは上がっていない(両方同じ右軸)。なので、私は現状では強気派を採用しません。

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