全6186文字

(前編はこちら

いつもの日経平均(濃い茶色の線)と、「株価の関数」と居林さんがいつも言っている、予想利益の推移(えび茶色の線)です。「2019年、米中貿易問題で1回予想利益が株価の下にいって、その後、米中間の問題が解決した、ということになって年末にすごく上がって、そこからコロナショックで落っこちてしまった。もともと予想利益から見ても高かった分を吐き出して、極端に下に突き抜けちゃった」と、前編で居林さんに説明していただきました。そして、また一気に戻ってこの前2万3000円を超えました。えび茶と黒の乖離がものすごいことに今なっているわけですよね。

居林:はい。

ということは、これは早晩株価のほうがどかんと下がってくるということになるんでしょうか。

居林:ここでひとつ、居林からは先ほども申し上げましたが「思考のチェックは1個ずつ、細かくやろうね」と言わせてください。連想ゲームのように大きくジャンプするのはやめようと。

……連想ゲーム。どういう意味ですか?

考えていないから「連想ゲーム」が起動する

居林:例えば「製薬会社は今後、対コロナウイルスで需要が伸びるから買い」だ、というような話があるじゃないですか。あくまで例えですが、この仮説は正しいかもしれないし、正しくないかもしれない。そしてそれとは別に、株価とファンダメンタルズは、合っていることもあるし合っていないこともある。基調が追い風だから買い、という判断は危ういこともある。

じゃあ、何を基準に考えればいいのでしょう。

居林:「どんなにいい株でも、好材料を織り込んでいたとしても、適切な値段より高かったら買っちゃいけないんだ」というのが私の論です。私たちが買う理由は「株価」であって会社の好感度ではない。極端な物言いですが、「どんなにいい会社でも、現時点でオーバーバリューされているんだったら買わない」というのは一つの哲学だと思うのです。逆に言うと、だめな会社でも、そのだめな分を差っ引いても、さらにすごくアンダーバリューされて安いんだったら買ってもいいかもしれない。

 昨今のトレンドフォローのヘッジファンドをやっている方には笑われそうですが、少なくとも個人投資家は一刻一刻マーケットを見ていないですし、トレンド分析ツールを毎日調整して使っているわけではないと思いますから。

なるほど……考えてみれば当たり前ですね。でもどうして「ふわっ」と製薬会社っていいんじゃない、って思うんだろう。

居林:コロナの話題が連日報じられて、関連する業界、例えば製薬や運輸などの話題も出てきやすくなると、「コロナ」「製薬会社」「運送会社」がちょこちょこ並ぶことになって、どうしても「連想ゲーム」が始まってしまうんですよ。しかも株価が回復基調となれば、「これはいいんじゃない」と、その会社が割高か、割安かをすっとばして、買ったり、あるいは売ったりする。

ああ、そういうのが、短期的な強気の材料になったり、弱気の材料になったりするのかな。

居林:横道に入りましたが、ここで言いたいのは、下降局面で業績はEPS(1株当たり利益)で言うと1400円のポイントから1200円のポイントまで200ポイント下がったわけです。200割る1400だと14.2%業績予想が下がったわけですから、株価が14~15%下がるのがフェアなんですけど、実際には31%下がったわけですね。残りの15~16%はどこからきたのかというと、投資家の心理状態の変化からきたわけです。