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居林:我々は、新型コロナという前代未聞、少なくとも近代に入って類似の状況を味わった人はたぶん存在しない極めて予測が難しい状況と、それにともなう大きな相場変動を経験しました。

 それでも変わらない真理は「市場には“常に”弱気と強気の投資家の両方が存在する」ということでしょう。市場を観察して判断するためには「強気論を唱える人、弱気論を唱える人、両方の考え方を理解しておくのが大切だ」という、一見平凡なことこそ、今回しっかり学ぶべきポイントです。

 特に今回の新型コロナについては専門家の中でも意見が分かれていましたから、投資家としては途方に暮れることになるのですが、それでも「株価を決めるのは投資家の判断」なのです。この際、もう1回確認してはどうだろうと思うのです。

市場には超強気から超弱気まで、グラデーションでいろいろな意見があると思います。いわば今回の変動は、超弱気論が一気に多数派になり、時を置かず主流が強気論に転じたということですよね。

居林:はい。マーケットをこうやって振り返ってみると、「3月に、あそこまで悲観的にならなくてもよかったよね」と思うわけです。そして、当時でさえ「おかしいぞ」と思っている人も決して少なくなかったことでしょう。でも「さすがに手は出なかったよね」と、後悔とも、ざんげとも取れる言葉で皆さん締めくくるわけで、実は私もその1人です。

説明することは常に可能だ

でも居林さんは3月頭の時点で「新型コロナショック、市場は悪影響を織り込み済み」で、「景気悪化は避けられないが、株価には別の価値観がある」と言っていました。

居林:はい、コロナショックは投資機会になるかと聞かれれば「個別銘柄的には拾う余地はあるんじゃないか」ということを申し上げたわけですけれども、楽観的過ぎるというご批判もいただきました。

こう言うと何ですが、居林さんは言い方が面白過ぎて、真面目な方を怒らせることはあるかもしれませんね。「マーケットというのは上がってくると上がってきた理由を正当化し、下がってくると下がってきた理由を正当化するものであります」とか(笑)。

居林:いやいや、怒る方もいらっしゃるだろうとは思いましたが。実のところ、特にメディアの方は、「今、何が起きているのか」の解説を求めてこられるので、そういうことになりがちだとは思います。つまり「常に」「どっちでも」説明は可能なんだと思っています。

ああ、人事交流で証券部に行ったあの日以来ずっと心の中で思っていたことを、ついに専門家が語ってくださいました(涙)。ということは、つまり、理由なんてない、ってことになっちゃうんでしょうか?

居林:いやいや、もちろんそうではありませんよ(笑)。

ありゃ。