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ショッピングモール、オフィスビルに転機

居林:もちろんサービスのクオリティで勝負する部分はあったし、ネットの登場で「知らない店を検索して訪れる」という行動も発生しましたが、やはり立地には大きな意味があります。言い方が悪いかもしれませんが「お客さんが来るのを待つ」ビジネスだからです。製造業ではあんまりこういうことはないですよね。いい立地は初期費用が跳ね上がるけれど、可能性も大きいから簡単には撤退しないです。

なるほど。

居林:となると、「コロナ後」は、このサービス業の特徴の1つだったかもしれない「待ち」を変えなきゃいけなくなるのかもしれません。サブスクリプション型にするのはその一例なのでしょう。例えば洋服とか今ありますよね。月に一遍送ってきてくれて好きなものを選んで要らないものは返してくださいみたいな、サブスクリプション型にする。コーヒーもそうですね。サラダもありますね。私もやってますが。

へえ、サラダですか!

居林:1カ月いくらでサラダを食べられる、という形で安定した需要を確保する経営努力を行っているお店があるんです。コーヒーなんかもあるみたいですね。こういうのがひとつの方向性だろうと。そして、サービス業が変化するならば、商業用の不動産ビジネスにも影響が出るでしょう。

お店は新型コロナ対策で閉めなきゃいけない、賃料は払わなければならない、で泣いているお店がたくさんあると思います。

居林:大手の商業施設の場合、売り上げの歩合で賃料を決める部分がありますから、ある程度貸す側との痛み分けにはなるんですが、固定賃料で100%払っているようなサービス業の方というのは大変厳しいと思います。そこは政府がある程度助ける必要があるでしょう。それはさておき、「3密」には感染症まん延のリスクがある、と、社会は知ってしまったわけです。今後、大規模集積に今までと同じような価値があるか、同じ賃料を支払う意味があるのか、と、テナント側が考えるのは当然でしょう。

実は「3密」が何だったのかすぐ分からなくなるんですが、「密閉空間(換気の悪い密閉空間である)」「密集場所(多くの人が密集している)」「密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)」と、厚生労働省のサイトにありました。これを今後も避けるバイアスが働くとなると、商業施設にとってもオフィスにとっても、これは大変なことじゃないですか。

居林:これまでのように、本社に全員が集まるのかというと、リスク上それもできないですよね。一方で、自宅では無理な仕事もあるし、別のストレスもある。

ありますね~。自分はともかく、家に人が多いとうちの奥さんが辛そうで……。

居林:ですので、各地にオフィスを分散させることになるのではと思います。例えば東京の本社とは別に、横浜、大宮、千葉にサテライトオフィスを置く。一度そんな形になるのではと。

通勤時間も短くて済むかもしれません。

居林:今、自転車で行っている方がいますよね。

知り合いの会社は隣にある閉鎖中のショッピングモールの駐車場を借りて、会社が駐車場代を持つ形で、自動車通勤OKになったそうです。