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需要は今せき止められている

ちなみに、こちらで出されている売上高の前年比予測(TOPIX500採用銘柄、金融、ソフトバンクを除く)を見ると「意外に回復が早いのでは?」と思えるのですが、背景を聞かせていただけますか。

居林:簡単に言うと、今は、需要という水をせき止めている状態なのです、例えば皆さん、外に出ない。となると、服を買わない。電車に乗らない。そして不要不急のものは買わない。これは、規制が緩めばある程度、戻るだろうと単純に考えています。

 ペントアップ・デマンドといいますが、たまっている需要がまず回復のファーストフェーズでやってきます。その後、ニューノーマルというか、新しい平常状態というのがどこかに均衡すると思うんです。そこで伸びる企業、伸びない企業の選別がここで行われます。

なるほど。

居林:苦境をしのぐ持久力も重要ですが、さらに厄介なのは、コロナ後の世界は今までと同じ世界ではないだろう、ということです。そのまま元には戻らない。業績は回復するにしても、今までと同じ業種・企業が同じようには回復しない。ということは、思いがけないビジネスで成長してくる企業が出てくる可能性もあるし、これまで盤石と思われた会社がぐらつくかもしれません。単純に「下がったものを買えばいい」とはいかない。大変ややこしい世界に私たちは生きているような気がしています。

「コロナ後」をちょっと考えてみましょう

その「コロナ後の世界」をちょっと考えていただけませんか。

居林:コロナによる封鎖経済がもたらす影響は、製造業とサービス産業に分けると、後者に大きいと思われます。サービス産業の危機と言い換えてもいいのではないかと私は思っています。

 製造業というのは、例えば工場が動かないとか、需要が一時的にすごく下がるということを、ここ20年間は結構な頻度で経験してきました。リーマン・ショック、地震、台風の水害、などなどです。波を受けても、それにある程度対応できるようになってきたわけです。ところがサービス業はそうはいかない。

 我々を含めて、サービス産業の従事者は就業者数の7割以上を占めます。サービス業が新型コロナの影響でダメージを受けると、その変化は日本の社会全体にも波及すると思います。

今我々がやっているウェブでのインタビューもそうですが、つまり会議、買い物、広告などなどで人の行動がオンライン化すると、どんな影響が出るか、ですね。

居林:飲み会をオンラインでやったりする人もいらっしゃるようですね。

カンバン(閉店時間)がないので飲み過ぎちゃうらしいですけど。

居林:と、オンラインに需要が移るとなると、サービス業にとって「立地」の持つ重みが、もちろんなくなりはしませんが、変わってくるでしょう。飲食でも小売りでもホテルでもある程度、立地勝負ですよね。

そうですね。繁華街の四つ角、2階より路面。