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(写真:ZUMA Press/アフロ)

 コロナウイルスがアジアから欧州、そして米国にまで拡散したことで世界の株式市場が大きく下落しています。私は今年の日本株は厳しいと見ていたのですが、それでも正直、ここまでの株価の下落スピードと幅は意外でした。

 コロナウイルスの感染が当初の予想を超えて世界の広範囲に広がったのは、当然マイナス材料なのですが、SARS(重症急性呼吸器症候群、2002年末に中国で流行が始まり、03年に拡大)のときには7月には終息宣言が出来たこと、11年の東日本大震災の時にサプライチェーンが寸断されても比較的短期間で回復したこと、そして、今年2月に入ってからは停止していた中国の工場が再稼働を徐々に始めていること、これらを考えると、直近の株価水準ではコロナウイルスの感染者数のピークアウトが見えてきた段階で株価の反転に転じるタイミングを探りたいと感じています。 

 株式市場の今後の見通しをどう考えるかですが、コロナウイルスの影響というのは当面消費にも企業業績にも大きなマイナスになるのは避けられません。しかし、中国の新規感染者数を見る限り、その数は限られており、逆に回復した数を考えると「感染している人の数は減少している」というのが我々の現状の理解です。

 確かに世界各国での予防措置も含めて甚大な人的、経済的ダメージが出ることは想像に難くありません。しかし、予防措置と気候が今後のコロナウイルスの感染防止の味方になってくれるはずです。中国はとりあえず通常モードになりつつあるところで、もし、この状態で封じ込めに成功すれば、それが世界の他の地域でも封じ込めが可能、という先行指標になると見ています。

急落の理由は「もともと高かった」ことが大きい

 企業業績への影響を考えてみましょう。第2四半期、つまり4-6月期までは前年同期比で2ケタのマイナスが続くと思います。しかし、その後の回復期がやってくることも同時に予想しています。 つまり、消費が萎縮すればするほど、その後の回復の確度と度合いも大きくなると期待できます。

 それでは、そもそもなぜここまで株価が急落したのか。恐らくは株式市場がもともと楽観論に支配されていたからだと思います。 

 当連載の1月1日の回(「 2020年の市場は『天井を読めるか』の勝負に」)で「今年の株式市場を厳しく見ている」と申しあげました。それまで株式市場を回復させてきた楽観材料は、株価にすでに入っていると見たからです。

 12カ月先のPER(株価収益率)で見ても、日本や米国を含む世界のほとんどの株式市場で過去の平均を十分に上回る水準でした。他方、企業業績は伸び悩み、横ばいで推移していました(このあたりは1月の回をご参照ください)。

 しかし、株式市場というのは興味深いもので、株価が上がっているときには株価を上げる材料、上がったことを正当化する材料に事欠かないものです。 今回は、世界的な資金余剰、新聞などの見出しでは「金余り」などという見出しが使われ、「株価が下がったところに買い向かう資金がまだまだあるので、株式市場は上昇基調が続くのではないか」という論調が強かったように思います。