ああ、つまり、そこは論点ではないと。仮に市場の変動が営業損益に影響するとしても、どっちみち誤差なんだから。「皆さんが株主だったとして、売上高が増えた、営業利益が増えた、ということと、時価総額が上がることとどちらが嬉しいですか」といったお話(32分30秒前後)まで出てました。なんて分かりやすい。

居林:なぜかといえば、投資企業の価値は、あくまで株主にとっての価値、保有する株式の時価総額マイナス負債だからですね。そうなると、この決算発表の本題である、SBG自体の株主価値をどう評価するかが気になりませんか。

そうか、決算発表も最後にそこの説明に入っていきますね。「保有する株式の時価総額を株主価値として考えれば、SBGの株価は低すぎる」と。

SBGの時価総額は低すぎるか、妥当か

昨年9月末(上)と決算発表当日(下)を比較した、この図ですね。

居林:前の発表時から5.5兆円、保有する上場株の時価総額が上がっている。借金は5000億円しか増えていない。ざっと5兆円の株主価値増加だ、と孫さんはおっしゃっています。

このあたり、兆の単位がぽんぽん出てきて頭がクラクラしました。ご本人も「5兆だ5兆だと、お豆腐じゃないんですから」と笑っていましたね。

居林:ここで、ふたたびウサギとカモ、ではなくアヒルのイラストが登場する。SBGは営業利益26億円の会社なのか、それとも「保有株式の時価総額-負債」を5兆円増やして株主価値25兆円になった会社なのか、と。

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