私は孫さんのお話を聞いていて「なるほど、そうなのか」と思いました。でも、「株価そのものの上下動が、投資会社の営業損益にダイレクトに反映してくる」ということ自体が、どうも腑に落ちないんですよ。
居林:しかしそれは投資ファンドとしては当然のことなのですけれど。
ところが、居林さんの授業をまじめに聞いている私からすると「でも、それって短期の話でしょう」と。
居林:どういうことでしょうか?
例えば、今回の2020年3月期 第3四半期(19年10月1日~12月31日)決算発表ではSVF事業の営業損益は2251億円の赤字。SBG全体の連結決算の営業損益は26億円の黒字でした。

しかし、「決算を締めた後、SVF1(ソフトバンク・ビジョン・ファンド1号)の上場株式が値上がりして、19年12月末から、決算発表日前日(20年2月11日)までの間に約3ビリオン(30億)ドル、日本円換算で3253億円のプラスが乗っかった」と、決算発表で孫さんは述べているわけです。「潔くSVFは赤字、決算の黒字は26億円と認めよと言いたいんだろうけれど、今日現在ではそれに3000億円の黒字が加算されているんだ」と。「“苦しい説明”をしております」と自らおっしゃっていますが、後段を見ていくと、苦しいどころか、これが正しいと信じているであろうことは明らかです(30分前後からの説明)。

つまり「この2カ月ちょっとでこれだけ“業績”が上がった」と孫さんが主張されることに「ちょっと待ってくれ」と言いたくなる、と。
居林:会計的な期間利益という意味での“業績”ではないですよね。しかし、投資会社としてのSBGの価値が上がったという点については間違ってはいないように思いますが。
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