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居林:ちょっと前の話になってしまいましたが、2月12日に中継されたソフトバンクグループ(SBG)の決算説明会、ご覧になりましたか。

見ました。生中継中に居林さんが「見てますか!」とメッセージを送ってくださいましたので。

居林:すごかったでしょう?

はい、すごかったです。うちの会社はご存じの通り投資行為は原則禁止でして、投資家ではない私の「すごい」が、居林さんと同じ意味かどうかは分かりませんけれど。

居林:いや、私と同じ感想を持つ必要はないんです。あれを見て「自分で考える」だけでも、投資家ならばものすごく「投資」についての理解が深まるし、自分自身を省みる鏡にもなると思います。投資家でない方も「そういう考え方なのか」と腑に落ちるでしょう。必見です。SBGの前回の決算説明会、今回の説明会、ぜひ両方見て勉強しましょう。本当に今まさに目の前で起きている、現在進行形の教科書です。

そこまでですか。

居林:おそらく日本の経済・経営史に名前を残すであろう人が、ライブでこうやって話していらっしゃるのを、自宅や会社、あるいは通勤中にインターネットで見られる。これこそ情報革命ですね。もちろん、素晴らしい経営者の方は昔から何人もいらっしゃったけれど、こんなに簡単に生の発言に触れて、インパクトを与えてもらう機会はありませんでした。今回は、あの動画をテーマにお話ししたいと思います。

り、了解いたしました。

 というわけで、今回の「市場は『晴れ、ときどき台風』」は

●ソフトバンクグループのホームページから「動画配信」→「2020年3月期 第3四半期 決算説明会」の孫正義氏のスピーチをぜひご覧ください。「関連資料」のリンクから、「プレゼンテーション資料」のPDFファイルも入手されるとよろしいでしょう。

居林:孫さんは記者会見で毎回「株主価値」について語っていますが、今回は特に力を入れてお話されてましたよね。ウサギとカモの絵で(開始後28分)。

そうでしたね。見方によって同じ絵がウサギに見えたり鳥に見えたりするという。孫さんは、「アヒル」とおっしゃっていましたが。

※ソフトバンクグループプレゼンテーション資料より、以下同

居林:アヒルでしたっけ。それはさておき、前々回、私が「期間損益と資産価値のどっちを見るんだ」という話を、不動産に例えてお話したのですが(こちら)、孫さんの方がずっと直感的ですね。

本当にうまいです。

居林:同じことを言いたかったのに、私の100倍ぐらい上手ですね。

思わず「なるほど」と言いたくなってしまう。

居林:「事業家」と「投資家」というそれぞれの立場があり、自分は事業家の人たちを束ねる投資家なんだということをおっしゃっていた。前回の当コラムで、投資家としての視線で孫さんは見ているのではないか、その考え方を学ぼうと申し上げましたが、今回と合わせるとより深く理解できると思います。ただし、念のため申し上げておきますが、私がSBGを銘柄として推奨するとかしないとかとはまったく別の話ですし、孫さんの主張の全部に賛成するわけでもありませんよ。

分かりました。それではまず私が孫さんのお話をまとめてみたいと思います。SBGは投資会社である。自分は投資家である。だから、経営指標は利益ではなくて株主価値だ。そして投資会社の株主価値とは「時価総額-負債」であるべき。という主張でしたよね。合っていますか?