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居林:はい。これは、その成長分を現在の株価がもう織り込んでいる、加えて世界的な低金利も相まって株価を押し上げている、ということではないかと思います。

景気・業績の楽観材料がすでに現在の株価の中で使われてしまっている。

居林:ひと言で言うと、それが今回の私の分析です。

5Gもすでに織り込み済み

5G向けの半導体需要はどうですか。これからどんどん盛り上がるのではないでしょうか。昨年末に某半導体製造装置の会社の方から忘年会で「中国で5G向けの半導体投資が急激に立ち上がって、現地のあちこちの、えっと思うような場所の工場から『あるだけ持ってこい』と注文が来ている」なんて、景気のいい話を聞いたのですが。

居林:はい、残念ながら日本に半導体のメーカーはほとんどなくなってしまいましたので、お話に出た半導体製造装置で見てみましょうか。こちらも景気の先行性指標になります。

半導体製造装置の販売にみる株価の先行性
(出所:Bloomberg、UBS)

居林:この濃い茶色が日本の代表的な半導体製造装置の会社の株価を指数化したものです。この株価と、SEMI(国際半導体製造装置材料協会)という団体が出している半導体製造装置の販売金額の推移(前年同期比)です。19年の中盤ぐらいから回復し始めて、2018年前半のピークの8合目くらいまで回復しているのです。これは2018年のピークくらいの水準まで行くかもしれません。

結構なお話では。

居林:でも、上げ幅下げ幅だけではなく、株価の水準も見てください。すでに2018年の頭を超えていますよね。2018年の1月って半導体が絶好調のときですよ。

スーパーサイクル、終わりなき成長がうたわれたころです。

居林:そこも超えて上がっているというのは、それを織り込んでいるとしか言いようがない。

昨年の春でしたか、中国の景況感が真っ暗になっている悲観論まっただ中で「需要の先食いの影響が出ているだけで、半導体をはじめとした市場はまもなく回復する」って言いましたよね(「『米中貿易摩擦』で“思考を止めるな!”」)。

居林:半導体需要、ちゃんと回復しましたでしょう? 回復がはっきりした後は、皆さん「当たり前だよね」みたいな顔をしていますけど、私は今は「いやいや、ちょっと待ってください」と。回復するのはいいのですが、今はそれが「5Gだから」「自動車用だから」と、今度は逆に半導体需要が大きく伸びる予想になっていると思うのです。それを考えると株価の織り込みのペースが速過ぎる。

楽観論は浸透しやすい、の事例ですかね。要警戒のポイントは他にもありますか。