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居林:マーケットは底を読むより天井を読む方がずっと難しいんです。しかし、個人投資家はより自由に動けるはずなので、今年大きく上がった銘柄で、「PER(※)で見ると高いな」と思うような銘柄は利食いを始める方がいいと思います。

※PERは株価収益率と呼ばれる、時価総額を純利益で割った数値。低いほど会社が稼ぎ出す利益に対して株価が割安

今は楽観論が支配的だけど、それ自体が下げの原因になる。そしてそれが起こるタイミングを読むのは、上昇のきっかけをつかむより難しい。

居林:そう思います。天井を当てる方がはるかに難しい。『Big Short(邦題:マネー・ショート 華麗なる大逆転)』という映画がありましたけど、あのトレーダーたちの胆力は大したものだと思います。

あ、マイケル・ルイスのノンフィクションが原作の(『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』)。

居林:楽観論は信じやすく、伝播しやすい。そんな中で「もう天井だ」と主張し、お金を動かすのはなかなか勇気が要ることです。その準備の意味も含めて、「来年はこうなります」というお話をさせていただきます。

景況感と株価の大きなギャップ

株価指数と製造業の景況感の比較
MSCI world、US ISMともに指数化しています(出所:Bloomberg、UBS)

濃い茶色の線が株価(MSCIワールドインデックス、日本を含めた世界先進国の株価指数)、赤い線はISM調べの景況感。ISMというのは。

居林:全米供給管理協会(Institute for Supply Management)のことですね。ここが出している製造業景況感指数(Manufacturing Report on Business)というのがありまして、米国の製造業の景況感を示す指数です。

この2つの線は何を意味するんでしょうか。

居林:どちらも、景気の先行指標です。なので、両方のトレンドが合うのが普通なんです。実際、過去はぴったり合っていますよね。ところが現状はどうでしょう。これだけ大きく開いたのは珍しいと思います。

どちらかが間違っている?

居林:そうでもないところが今回の難しいところです。先ほど触れられた通り、米中貿易摩擦の一段落、金利低下、中国のGDPの下げ止まり、と、確かに、これから米国の製造業にとってプラス、と考えられる状況が見えています。これは私も認めます。グラフで言えばたぶん100ぐらいまでは戻るし、もしかしたら110ぐらいまで行くかもしれない。

でも株価はそれに連動していない。