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居林:2019年11月6日の、孫正義さんのソフトバンク(以下SB)グループの決算説明(2020年3月期第2四半期決算説明会)、ご覧になりましたか(リンクはこちら、今回はこの中の資料の「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業編」と、ぜひ合わせてお読みください)。

当日のライブ中継中に居林さんから「これは見る価値があります」とご連絡をいただいたので、辛うじて生で見ることができました。

居林:投資家が持つべき「哲学」や「スタンス」のお話をずっと連載でお話ししてきましたが、孫さんの説明会の内容や資料は、心に留めておくべき1つの考え方だと思うのです。

賛否両論が出ましたよね。

居林:両論分かれるとは思いますが、それは、自分も投資家として聞くか、それ以外かによるところが大きいのではないでしょうか。私が知る限り、孫さんが1時間37分しゃべり続けたというのは記憶になく、彼のような大きな投資を行う人間が、これだけ話したというだけでも、価値はあります。

では、今回はその内容を居林さんの視点から、私のような素人にも分かるように読み解いていただければ。

居林:僭越極まれりですが、やってみますか。まず、孫さんは「上場していない、市場価値が定まっていないもの」に対しての投資を決めるときに、どのような判断基準が頭の中にあるのだろうか。その答えは、おそらくは株主価値なんだと思います。なぜかというと、彼は株主として入るからなんですね。孫さんのプレゼンテーションでも株主価値を強調されていました。

持っているマンションの窓が割れたら

株主価値とは。

居林:企業価値というのは、株主価値プラス債務価値なんです。

企業価値から負債を引くと株主価値になる。ああ、なるほど。企業価値は時価総額とは違うんですか。

居林:違います。企業価値は、債務価値を理論的に導いて計算したもので、時価総額は市場価格ですから。

ああ、なるほど。

居林:企業価値とは「今後何年間かの、その企業が稼ぐであろうキャッシュフローを計算し、それをリスクで割り引いたもの」というのが、今回の孫さんのプレゼンでの説明でした。

「リスクで割り引く」というのは、将来稼ぐであろうキャッシュフローを現在の価値に換算するといくらになるか、ということですよね。

居林:はい、前にお話しした内容とも重なりますが、ここを改めて考えてみたいと思います。

 「キャッシュフローを計算し、それをリスクで割り引いたものです」とか言うと取っつきにくいので、前回と同様、不動産、マンションで考えてみましょうか。

はいはい。マンションを購入するときに何を考えるか、ですね。

居林:自分はマンションの部屋を所有し賃貸料を得ている、としましょう。今回、入居者が出ちゃって部屋が空いちゃった。改修費も掛かった。それは大変だし、今期は苦しくなるかもしれない。

大変だ。