居林:結果としてどうなるかはまだ分かりませんが、「マーケットの間違いを探すのが投資家の仕事です」と、申し上げてきましたよね。大勢と違う意見を持とうとする姿勢が必要なんじゃないか、と思っております。

 「隣の人がやっているので僕もやります」という方もいるかもしれないですし、それはその方のご判断です。私は、投資は、市場の考えと自分の考えに、どこかでギャップを見つけることだ、と考えていて、「そのギャップを見つける方法はいくつかありますよね」ということで、この連載をさせていただいているわけです。

P/Lだけでなく、バランスシートを見て

配当、って本来は株式投資の最重要項目だったと思うんですが、どうもキャピタルゲインの話ばかり、いつの間にか考えちゃってますね。

居林:そこで、前回触れた話にちょっとつながります。P/L(損益計算書)だけじゃなくて、BS(バランスシート)も見ましょう、という。

 連載開始から、1株当たりの利益に対して株価が何倍で取り引きされていて、それが正しいのか、正しくないのかはどうやって見たらいいのか、という話をしていたのですが、前回にもう1個アプローチを追加しました。バランスシートの純資産と、株価の時価総額との比較です。

それがPBRですね。株価が1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍の値段になっているか。

居林:ただ単に「PBR1倍以下が安くて1倍以上が高い」とか、そういう話ではなくて、企業がもうかっているのか、どのぐらいもうかっているのか、さらに将来どのぐらいもうかり続けるのかという確からしさを考慮し、投資家が「そういう投資だったらいくらなら払おうか」というのを考えて、PBRというものは決まっているんですよね。

 イメージしにくい場合は、株式ではなくてマンションとかオフィスビルとか、投資不動産を考えると分かりやすいですよ。自分はその大家さんだと思ってください。そして、このビルを買う1億円の資金は、融資で調達している。

はい、貸しビルの大家さんであると。でも親からの相続じゃなくて、お金を借りて買っている。

居林:さて「PBRが1倍」ということは、株主資本と時価総額がほぼ一緒だということです。これを貸しビルに例えると、「1億円のビルを買い、その利回りが3%」「1億円を借りるために払っている金利が3%」という状態です。

リスクだけ残って何もいいことがないような……。

居林:そう、本当は入居者の退去とか「この先の利回りの変化」のリスクの分、金利が低くないと成立しないんですが、本当に言いたいことはここじゃないのでスルーしますね。要は「1億円のビルを1億円で買って、3%の金利で借りて、3%のお家賃をもらっていたら何も手元に残らないから意味がないよね」という話です。

なるほど。

居林:ここまではいいですね。だから、「1億円」という値段がそのビルについていたら、それはフェアバリュー(適正価値)と言ってもいいでしょう、と。さて、そのビルが、実は6%のリターンを出すビルだったとしましょう。そうしたら、ビルの値段っていくらであるべきでしょうか。

少なくとも1億円より高いはずです。

居林:そうです。「あれ、償却とか全部引いても、手元に3%残るんだ」となった場合、買った値段が1億円だとしても、将来3%毎年もうかる分の価値があるから、売る値段が1億円だったら安すぎますよね。

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