居林:例えば、WSTS(半導体の月次売上高)です。

出所:WSTS、UBS
出所:WSTS、UBS
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居林:単価はすでに前年比で約2割安くなっています。スマホのメモリーに至っては3~4割安。

 大変な状況に見えますが。

半導体、単価が下がれば需要が伸びる

居林:2016年以降、半導体はスマホと自動運転という急拡大する市場を手に入れて、猛烈な勢いで伸びました。そして今は大きく凹んでいるわけですが、さて、この2つの市場は果たして消えることがあるでしょうか。

 まさか、それはないですよね。

居林:ですよね。今後、数量ベースで半導体の需要が純減するとは考えにくい。そして単価が下がっている。ということは、この低価格で需要が喚起される、と見るのが自然です。だから、底打ちが近い。

 あ……。

居林:これは日本の半導体製造装置をはじめとするメーカーにも朗報でして、実際、非公開のデータでは、1月以降受注残が下げ止まり、徐々に上向いていることを示すものをたくさん見ました。

 公開データでは、何かありませんか。

居林:例えばTHKの「LMガイド」。製造装置やロボットにも使う、いわば設備投資の基本素材みたいなものですが、受注高は明らかに下げ止まっている。1~3月で戻っていることが分かります。

 あるいは、コマツのKOMTRAXの数字はどうでしょう。

出所:コマツ
出所:コマツ

居林:これはコマツが販売した建機に付属している、稼働時間測定装置から取ったデータです。昨年11月から今年の1月を底に、プラスに転じ始めました。

 昨年11月から1月までの落ち方がいかに厳しかったかということと、その後の下げ止まりを示唆しています。ただし、直近の4月は再び稼働率が下がってしまいました。今後も要注目です。

 冷静に見る必要があるし、全体の景況感は悪いけれど、製造装置や工場など、設備投資が戻ってきている印象がある、と。

居林:そういう視点に立てば、出てくる答えはシンプルです。中国の昨年末の景気後退は、米中貿易摩擦によるものだと思われているけれど……もちろんその影響もあるにせよ、それはきっかけで、最大の原因は、半導体など新産業への過剰投資による供給過剰、オーバーサプライの反動だった。

 えっ、「米中が揉めたから半導体需要が落っこちた」んじゃなくて?

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