居林:ええ。中国の企業活動が昨年10~12月で急減速したことが、前年の会計的な一時利益の計上の反動でもともとマイナスになる予想だった(これは昨年一度お話ししましたね)日本企業の10~12月期の業績を急激に押し下げました。この業績の落ち込みがあまりに大きいので、今年の1~3月期からは前年度比はマイナスなものの、幅は縮小すると見ていました。

 こうした昨年からの読みが正しいのか、「これはもう一回、足元からちゃんと調べないと」と連休前に決心したわけです。また、上のPMI/ISMのデータは米国の景気はまだ伸びているものの、成長率が急速に落ち始めていることも示唆しています。この辺の影響も業績発表から読み取る必要があったわけです。

 で、どうだったのでしょう。

居林:状況を整理するために、いつものように企業業績予測と株価を重ねたグラフから見ていきましょう。

出所:Bloomberg、UBS
出所:Bloomberg、UBS
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 直近では下がっていますが、昨年末から順調に戻しているように見えますね。

居林:業績予想の根拠になる、予想数字も今朝(5月17日)改めて見てみましたが、ズレはありませんでした。ちなみに2020年3月期は営業利益ベースで4%増益とみています(TOPIX500ベース、金融、ソフトバンクを除く)。

 にもかかわらず、株式市場は連休後再度下落に転じている。これはなぜなのか。

 なぜなのでしょうか。

年末の経験が刷り込まれている

居林:一旦は雪解けに向かった米中の貿易交渉が再び激化していることで、「昨年末の米中貿易摩擦発生時と、同じショックが再び起こるのではないか、そして長く続くのではないか」という恐れが生じ、それが景気を、そして市場を冷やしている。そういうことだと思います。

 ちょっと前に一度経験があるから「また貿易摩擦で業績も株も下がる、景気も悪くなる」と、強く影響が出ている。一度目は一時的なパニックだったけれど。

居林:では、二度目はどうなのでしょう。一時的なもので下げ止まるのか、長期的なもので下げが続くのか。

 政治イベントか、金融イベントか、の判断ですね。

居林:そこを知るためにはどうするか。

 そこがお聞きしたいです。

居林:過去の経験則では、2度目は経験値が積まれるので、市場は大規模には反応しないと思いますが、今回はなにせマクロデータではどうにも見えてこない。そういうときはミクロを見るとよいと思います(マクロというのは経済全体指標、ミクロというのは企業の数字という意味でここでは使っています)。

 なぜかと言えば、企業の受注や在庫の変化の方が、当然ながら経済指標よりも変化を素早く教えてくれるからです。4月末から5月半ばにかけて、私はたくさんメーカーを取材して歩き、いろいろな物証を探してきました。先行となる指標を実データから探して、その先行きを考えたわけです。けっこう忙しかったです。

 で、その答えは。

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