居林:そもそも、予想外のことが起きるというのがありますよね。為替相場が大揺れしたり、指導者の都合で貿易問題が出現したりするのは「そりゃ聞いてないよ」ということで、アナリストを責めるのは気の毒な事情もありますよね。ですから、予想外のことが起きるときにもう一つは、日本企業の売上高利益率の低さもあります。売り上げがちょっと動くだけでも、利益率が低いから数字が大きく変わる。この二つが、外れる理由の半分でしょうか。残りは評価ミスですね。

 日本企業の売上高純利益率は、最高益で5~6%くらいです。売上高が1%動くと利益が10%くらい吹っ飛ぶことになる。ボラティリティが大きい。とはいえ、12年3月期の純利益率は1.1%でしたから、この7年間でずいぶん利益率は上がりました。

 グラフから2019年3月期の予想の推移を改めて振り返ってみましょう。業績予想が本格的に動き始めるのは夏からです。19年3月期が完全に終わって、20年3月期、そして21年3月期を織り込み始める。ここで業績予想が上がりやすい。

 ですので、狙い目です。ただし18年は特別です。18年3月期に米国での法人税負債の取り崩しがあり、利益がかさ上げされていましたから、減益になるのが見え見えだった。普通の年なら夏から上がるんです。

わかっていても間違えるものでしょうか……。

居林:事実としてはそうです。円高とか、中国と米国の貿易問題とかがなければ、業績予想は上がりやすい。「業績が上がりやすい」とはいっていませんよ。改めて要注意です。アナリストの皆さんが増益予想に修正してくるので、コンセンサス(アナリスト予想の集計値)も上がりやすい。

ということは、この方法で先行きを予想するには、頻繁に業績予想をチェックしなくてはいけませんね。個人投資家はどうすればいいんでしょう。

次ページ 個人投資家が同じことをやってみるには?