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居林:ですので、3月期、1-3月の決算でのもう一段の下方修正は少ないでしょう。これ以上下がらないように、いま大幅減益で調整しているんです。今回、下方修正が断然多いのはそれが理由です。

でも、その中身を見ると、予想外の貿易摩擦による売り上げ減だけではなく、危機に備えてのBSの圧縮、しかし将来の事業の糧であるR&Dへの投資は続けていると。

居林:そうなのです。日本企業は粘り強く利益率を向上させてきた、その成果でもありますね。2000年代初頭の水準、2~3%の純利益率ではできなかった、5%の利益率が出せるようになったから、「屈んでも黒字」になっています。

 中国景気の低迷は1-3月も続くでしょうが、先にお話しした読みが当たれば夏になるころには米中の貿易問題に決着が見えるでしょう。新たな制約は生まれるかもしれませんが、何らかの迂回策も立ち上がる。景気が戻り、売り上げが上がってくる。

 その時、日本企業はどうなっているかといえば、固定費を下げ、在庫は評価減済み、工場の減損も必要なものは出し済みで減価償却負担が軽くなっている。生き残るためにやるべきR&Dも手を打っていて、つまり今回は攻めも守りもちゃんとやっている。来期、2020年3月期はもしかしたら増益になるかもしれないですね。いまマイナス2%で見ていますが、悪くてもそんなものです。

へええ。

改元、消費税、五輪と万博、東証改革と後押し役がたくさん

居林:大事なのは、減益発表が相次いでも株価がそれほど反応しないことです。10-12月の企業収益は思ったより悪かったけれど、反応しないということは、悪材料を織り込んだ、いわばターニングアラウンドの時期に入った、と、投資家ならば捉えるべきです。その先のプラスを期待し始めた。「2020年3月期にはいいことがある」と。実際日本経済にとって、好材料が目白押しだと思いますよ。

これまた意外な気がします。例えば。

居林:ひとつめは「改元」です。日本にしかない「買い替えのタイミング」。消費に明らかにプラスです。元号が変わったからと言って新しく買うのか? 意外に買うんです。特にクルマ、家、リノベ、靴、財布、長く使うものはどうしても古びてきますが、それを一新する心の後押しをしてくれる。

「この設備、平成を頑張ってくれたし」「時代も変わったし」と、ああ、あるかもしれません。そういえば私も10年以上使っていた財布を取り替えました。

居林:海外投資家に大真面目で説明するのですが、「年号が変わると消費が増える、どういうことだ?」と、ぽかーんとされますね。でも消費は心理で動くので、耐久財の売り上げを押し上げてくれます。

 ふたつめは消費税。上がるのでマイナス……ではなく、これをきっかけにキャッシュレス化の設備投資が進むのは大きなプラスです。政策としての評価は措いて、経済対策がいくつも打たれるのも大きい。