全6782文字

居林:今回の貿易問題についてあえて私なりの根拠を言えば、「歴史を振り返ると、政治家が起こしたくて起こした戦争はない」という、自分なりの“哲学”があります。米国にすれば「我々の地位を脅かされるのは嫌だけれど、中国が将来の大国になるのは確実だ」が、中国にとっては、「頭を下げるのは嫌だが、いますぐ軍事・経済で喧嘩して勝つ見込みは少ない」が、それぞれの現状でしょう。お互いに本気で喧嘩は嫌だとすれば、今は中国が頭を下げて解決する方向に動くのが必然だと思います。

 先に行きましょう。もうひとつの大きな要素は何だと思います?

ええと、株価はそもそも「企業収益」で決まる、というのが本稿の一貫した主張ですから、収益予想ですか。

居林:正解です。株価は「投資家の心理」に影響を受けつつ、基本は「企業収益」で決まる。年末の下げは、投資家心理に大きく影響されて「企業収益から見た場合よりも大幅に安く」なってしまったわけです。この状況は反転しつつありますが、実はまだまだ続いています。

割安な状況が?

居林:そうです。その根拠が企業収益予想です。普段弱気で知られる私ですが、今回は我ながら珍しく、日本企業の収益予想について強気です。

ちょうどいま、昨年の10-12月期決算が出ているところですが、減益修正ばかりのような……。

決算数字の大幅な悪化は将来への布石

居林:じゃあ、ここからはやっと本業・本題の、アナリストとしてお話ししましょう(笑)。

 金曜日(2月1日)現在で決算を発表した企業220社の、前年同期比10-12月の純利益ベースの実績はマイナス24.1%。事前のコンセンサス(アナリストの予想平均値)はマイナス18%で9%の下振れでした。純利益は、昨年度は米国の会計制度の変更を受けた一昨年の一過性のプラス要因があるので、どう考えても落ちるんです。では営業利益はというと、マイナス16.0%。自分自身はマイナス5~7%で見ていましたので、こんなに悪いとは思いませんでした。

やはり大変な悪化ではないですか。

居林:そうですね、私の予想よりもさらに企業収益は悪化しました。しかし、企業収益が下がるのは株式市場にとって悪いこととは限らないと思います。

どういうことでしょう?

居林:株価は企業収益の関数であると言っているのですから、業績が下がれば株価が下がるのは当然ですが、問題は業績の下がり方によって、その後に期待できる業績の下がり方と、さらに業績が悪化する業績の下がり方があると思うのです。

その違いがもし判るとすれば、投資判断に非常にプラスになりますね。どこで見分けますか?