全6782文字

昨年の12月25日に、すわ金融危機かと思わせた「クリスマス暴落」、日経平均株価1万9155円への下落を受けてお話しいただきました(こちら)。2019年の株価は2万円台で推移していますね。2月になってしまいましたが今年の連載初回ですし、ずばり、本年の株価の予想からお願いします。

居林:上値2万4000円、下値は2万円と見ています。

年末に「投資家がここで買わなくてどうする?」とおっしゃっていましたが、それにしても日頃「弱気派」と言われている居林さんにしては、強気な予想ですね。

居林:基本的な考え方は前回までと変わらないのですが、意外に早く市場が元気になってきたなと思っています。2月までは悪いニュースが続いて、3月以降に戻り始めると予想していましたが、すでに潮目は変わりはじめています。

強気な予想の理由、詳しくは前回を読んでいただきたいのですが、うんと省略すれば「政治主導で金融危機が起こるかどうかだが、それはないと見る。だったら今の相場はインデックスで見ても安い。ゆえに買い」という。

業績予想から推定される株価水準よりも、実勢は大幅に割安(赤い矢印)になっている。(出所:UBS グラフについての解説はこちら

居林:はい、そういう話に帰結しました。連載初期からの読者の方にはもう耳にタコができているでしょうけれど、情報戦では機関投資家に敵わない個人投資家は、こういう「市場が一時的に間違えている時」こそが最大の勝てるチャンスです。もうひとつ「買わなくていいときには買わないでよい」という武器もありますけれど。いずれにせよ、自分の判断だけで決められるところが大きいですね。

経済問題と政治問題の分離

相場の雰囲気が変わってきたのは何が理由と思われますか。

居林:2つ大きな要素があります。まず一つめは、米中の政治関係と経済関係がリンクして「いない」という認識が広がったことだとみています。

え? していないんですか?

居林:米国側、というかトランプ政権が見ている対中国の問題は二つに整理できると思います。

・貿易赤字が大きい。だから国内産業が疲弊している。(経済関係)
・国家安全保障上の脅威が生じている。(政治問題)

 当初、トランプ政権が経済関係の問題解決策として、俺は「タリフマン」として関税をかけるぞ、と打ち出したとき、経済界の反応は芳しくありませんでした。保護貿易の弊害を知らないのか、というわけですね。ところが、「中国は企業を使って米国のナショナルセキュリティを脅かしている。これは国防上の問題だ」という、政治問題として対中国に交渉を始めたことは、「それなら理解できる」とばかりに米国民の支持を集めました。

 昨年8月13日に米議会は超党派で、中国を戦略的に封じ込める狙いが強い法律(国防予算の枠組みを定めるもの、国防権限法、NDAA)を成立させています。この法律は、主導者だったジョン・マケイン上院議員の名前から「ジョン・マケイン国防権限法」と呼ばれます。ご存知の通り、彼はトランプを批判して止まなかった人です(法案成立後ほどなく他界)。法案には、ZTEやファーウェイへの規制策が盛り込まれています。

中国の個別企業の名前が入っている国防関連法案。それが超党派で成立。その流れで、ファーウェイのCFOがカナダで拘束されるなんてことになったんですか。てっきり、貿易戦争がらみの嫌がらせかと思ったんですが。