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 2018年8月9日は、東南アジアの中心に位置する多民族国家、マレーシアのマハティール・ビン・モハマッド首相一行がAPU(立命館アジア太平洋大学)に来学された、記念すべき日となりました。

 説明するまでもありませんが、マハティールさんは2018年春、15年ぶりに92歳で首相の座に返り咲いた(しかも61年ぶりの政権交代です)、マレーシアを代表する政治家です。

 マハティールさんは1981年から22年間にわたって政権を担い、その中で「ルック・イースト」と呼ばれる近代化政策を取ってきました。西(欧米)ではなくマレーシアにとっての東、つまり日本の近代化をお手本にしようという政策ですね。

 そして2018年の政権奪還後、彼は再び「ルック・イースト」政策に力を入れると表明しています。それを体現するように、首相就任後初の外遊先は日本でしたし、今回は5月の就任から2度目の来日となりました(編集注:2018年11月には3回目の来日も実現)。

 なにはともあれ、一国の首相が来日中足を運ぶ唯一の大学に選んでいただけるなんて非常に光栄なことです。

 しかし、ここで「なぜAPUなんだろう」と思われた皆さんがいらっしゃるかもしれませんね。マハティールさんはその前日、福岡で講演を行われたのですが、わざわざ別府まで足を延ばさなくても福岡には九州大学をはじめとする名門大学がいくつもあるじゃないか、と。

 僕の想像ですが、これには2つの理由があると思います。

 まず、開学前よりマハティールさんにはAPUの理念やビジョンに共感していただき、現在に至るまでアドバイザリー・コミッティ名誉委員を務めていただいているということ。自分が応援している大学が開学して20年近く経ち、どうなっているのか見てみたいと思ってくださったのでしょう。

 もう一つが、APUは学生の半分が国際学生という「どこにもないユニークな大学」だということ。国籍や宗教の偏りがない場であり、日本で、いや世界で唯一無二の場だからこそ、一国の首相という立場からも訪れやすかったのではないか――。僕はそう考えています。