10年以上に及ぶ不妊治療を経て、養子を迎えたトライバルメディアハウス社長の池田紀行氏。親となって1年8カ月の期間に起きた心境とワークスタイルの変化、そして経営者としての価値観の転換とは。いわく、「血縁がない子だからこその向き合い方がある」。マーケティングの最前線で活躍するビジネスリーダーは、子育て体験を通じてある社会課題を本気で解決したいと具体的な構想も始めたという。前後編でお届けする。今回は後編。

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、コンサルティングファーム、バイラルマーケティング専業会社などを経て、2007年、ソーシャルメディアを中核とした企業のコミュニケーション戦略策定・実行を支援するトライバルメディアハウスを設立し、代表取締役社長に就任。日本航空、江崎グリコ、パナソニックなど多数の企業のマーケティング支援を行う。著書に『キズナのマーケティング』(アスキー)、共著に『次世代共創マーケティング』(SBクリエイティブ)など。神奈川県在住。不妊ピア・カウンセラーの妻、1歳の長男と3人暮らし。(取材日/2020年10月1日、写真:鈴木愛子)
息子さんをどんな大人に育てていきたいですか。
池田紀行氏(以下、池田):人が生きられるのはせいぜい100年。地球の歴史と比較すると、ほんの一瞬の出来事です。でも、ほんの一瞬の人生であっても、その前後で世の中がちょっとでもよくなる。そんな意味のある人生を送ってほしいと願っています。そのためには、自分自身や身近な人たちを幸せにするのは当然のこととして、直接会えない大勢の人たち、世の中全体を幸せにできる人にならなければならない……そんな話を、寝かしつけをしながら息子に語りかけています。だいぶ早いですが(笑)。
まだ1歳の息子さんにリーダー教育。ずいぶん早いですね。
池田:3歳には3歳なりの、5歳には5歳なりのリーダーシップ論があると思っています。小学校に上がったら、毎日の宿題や運動会の練習を題材にして、いろんな話をしたいですね。息子はまだ片言の言葉しかしゃべりませんが、今の彼に伝えるつもりで語りかけています。いわゆる赤ちゃん言葉は使いません。

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