やはり一緒に過ごす時間の長さが重要だったということでしょうか。

池田:おっしゃる通りです。女性の場合は、妊娠・出産という身体変化がありますし、自然と「母になる」変化が起きやすいのだと思います。僕の妻の場合は、自分が産んだわけではないのですが、初めて息子を抱っこした瞬間に変わった。全身の細胞が一気に入れ替わるみたいに、母親へとトランスフォームしたのが、隣で見ていて分かりました。

 「え? 俺の細胞はまだ入れ替わってくれないぞ。やばい、追いつかなければ」と内心ずっと焦っていたのですが、コロナの中の在宅生活で、朝昼晩の食事を共にし、お風呂も入れて、寝かしつけもするというルーティンをほぼ毎日続けた結果、すっかり僕の細胞も入れ替わりました。

男性が親になるための準備として、子どもと一緒に過ごす時間の確保は重要である、と。

池田:はい、ある程度の期間、物理的に一緒にいることが重要なのだと実感しました。ちょっと前の僕自身がそうだったように、社会全体に「育児は女性がメインでやるもの」という根深い刷り込みがあるのだと思います。それでも子どもと一緒に過ごす時間を重ねていけば、愛情ホルモンは増える。

 ただし、時間を与えられたからといって、最初からいきなり育児に深く関われるかどうかは別問題。夫婦のコミュニケーションや、社会の空気に左右されるのでしょうね。

池田さんの場合はなぜそれができたのでしょうか?

池田:妻の誘導がうまかったからです(笑)。「○○してよ」「○○すべきだ」と強く言わずに、「パパとお風呂に入るのがすごく楽しいみたいだね」「パパと一緒だと、ご飯をいつもより食べてくれるよ」と、僕を乗せるのがうまいんですよ。つい、「そうか、そうか。きょうも一緒に風呂に入るか」となり、気づけばかなり子育てに深入りしていました。