武田:いいですね。コミュニティーで子どもを育てる感じでしょうか。「子どもを家庭内だけで育てるのか、社会も巻き込んで育てるのか」というのも、皆さんの関心が高いテーマです。川口さんはまさに巻き込み型の子育てを実践中なんですね。

川口:といっても、特に何か手伝ってもらっているわけではないです(笑)。ただ、80代くらいのおばあちゃんから「かわいいね」と声をかけてもらえるだけでもいいかなって。関係人口を増やすきっかけをつくるのも、親の役目だと思うんです。

武田:いいですね。ちなみに、子育てにおける今の一番の課題は何ですか?

川口:そうですね。子育てよりも「夫育て」のほうを頑張っているかも。

井上:大事! ちゃんと育てないと僕みたいになりますよ(笑)。

武田:夫育てとして、何を重視しているのか知りたいです。

川口:まず、認識の刷り込みですよね。妊娠を経て母親になった私と、身体的な変化がないまま父親になった夫では、スタート時点ですでに10カ月間の差があるじゃないですか。さらに生まれて1年くらいは授乳で母親との関わりはどうしても増えるので、「トータル1年10カ月のビハインドがあると自覚して頑張ってほしい」と伝えています。それをすんなり受け入れてくれる夫だからよかったな、と思っています。

 実際、女性はどんなに事業で結果を出して評価されていても、妊娠・出産でブランクは生じてしまうんですよね。私はそれがちょっと悔しいから、夫にも理解してもらえるようにコミュニケーションをとっています。

武田:ありがとうございます。特にコロナの影響で保育園に通えなかったことも、パートナーシップを強化していそうですね。沢木さんは「コロナによる子育ての変化」、いかがですか。

沢木:やってよかった!と思っている施策が一つ、あるんです。紹介していいですか。

武田:ぜひお願いします。

沢木:「アトリエ」です。家の中に、子ども専用のアトリエ、つまり工作部屋をつくったんです。コロナの影響でテレワークに切り替えた結果、プライベートと仕事が同じ空間にミックスするようになったことがきっかけです。うちは元気な盛りの娘が4人もいるから仕事が思うように進まない居心地の悪さを感じて、なんとかしなきゃな、と。

OKAN代表取締役CEOの沢木恵太氏は、ステイホーム中の子育てに「アトリエ」を取り入れた
OKAN代表取締役CEOの沢木恵太氏は、ステイホーム中の子育てに「アトリエ」を取り入れた

武田:在宅子育てと在宅勤務の両立はハードですよね。

沢木:一つの空間に同時に複数の機能を持たせたらいけないんだという気づきがありました。しかも、休校・休園で子どもたちはめちゃくちゃ暇を持て余しているわけです。「じゃ、君たちが思い切り遊べて没頭できる空間をつくろう」と部屋を一つ用意したんです。

 すると、子どもたちはずーっと閉じこもって、いろんなものを工作するんです。在宅勤務中にどんどんたまる「Amazon」の段ボールやらなんでも使って。アトリエにはテレビやオモチャは一切置かず、工作の道具だけ渡したら1日中、4人で何か作っていました。原始的な糸電話みたいなものもできていましたね。そして作ったものを景品にして、お祭りごっこもしたり。こんなに没頭する姿はこれまで見たことがなかったので、やってみてよかったと思いました。