2020年2月17~20日に開催されたビジネスサミット「ICC FUKUOKA 2020」で企画された、本連載とのコラボセッション「子育て経営学~私たちは子供をどう育てていくのか~シーズン3」。旬のベンチャー経営者4人が“経営視点”で子育てを語った。若手ビジネスリーダーはわが子に何を伝えているのか? 経営にも生きる子育ての極意とは? ここでしか聞けない、本音トークを公開する。

(構成:宮本恵理子)

■登壇者
重松 大輔氏(スペースマーケット代表取締役社長)
田口 一成氏(ボーダレス・ジャパン代表取締役社長
中村 俊介氏(しくみデザイン代表取締役)
南 章行氏(ココナラ代表取締役社長)

■モデレーター
武田 純人氏

2020年2月17~20日に開催されたビジネスサミット「ICC FUKUOKA 2020」のセッション「子育て経営学~私たちは子供をどう育てていくのか~シーズン3」の登壇者たち。左からモデレーターの武田純人氏(元UBS証券アナリスト)、田口一成氏(ボーダレス・ジャパン代表取締役社長)、重松大輔氏(スペースマーケット代表取締役社長)、南章行氏(ココナラ代表取締役社長)、中村俊介氏(しくみデザイン代表取締役)
2020年2月17~20日に開催されたビジネスサミット「ICC FUKUOKA 2020」のセッション「子育て経営学~私たちは子供をどう育てていくのか~シーズン3」の登壇者たち。左からモデレーターの武田純人氏(元UBS証券アナリスト)、田口一成氏(ボーダレス・ジャパン代表取締役社長)、重松大輔氏(スペースマーケット代表取締役社長)、南章行氏(ココナラ代表取締役社長)、中村俊介氏(しくみデザイン代表取締役)

武田氏(以下、敬称略):皆さん、こんにちは。モデレーターを務める武田純人です。プライベートでは、小学生男児の父親で、妻子は広島に、僕だけ東京で暮らすという「遠距離子育て」を実践中です。

 さて、旬のビジネスリーダーが子育てについて熱く語る本セッションも3回目となり、今回は参加者の方々とも一緒にディスカッションするラウンド・テーブル形式で開催いたします。まずは登壇いただく4人の皆さんから、自己紹介と「子育てのこだわり」を一言ずついただきます。

重松氏(以下、敬称略):スペースマーケットの重松です。子どもは3人、上から長女10歳、長男7歳、次男5歳です。妻はベンチャーキャピタリストで週3~4日は帰宅が遅くなります。

 共働きで3人の子どもを育てるために心がけていることは、「子育てシェア」です。妻のご両親のほか、家事代行やシルバー人材センターから派遣されるご近所スタッフさん。近くに住んでいるパパ友やうちの社員とも子どもの預け合いをして、とにかく“貸し借り”をしまくるようにしています。

 もう1つ、わが家の合言葉になっているのが、「チーム重松」。きょうだいゲンカや何かちょっとした問題が起きると決まって、「チーム重松として、どうしていくか?」という感じで話し合います。5歳の末っ子が10歳の姉に対して「それって、チーム重松としてどうなの? 苦しいときほど助け合うんでしょう!」なんて反論するんです。

南氏(以下、敬称略):重松さんとはお互いにラグビーファンだという縁で長い付き合いですが、今まで聞いた中で一番いい話だなぁ(笑)。重松家は共働きで夫婦共にめちゃくちゃ忙しくて、子どもたちと過ごせる時間も限られるはずなのに、どうしてあんなに結束が固いんだろうと不思議でした。チーム感を出す声がけを日ごろからしているんですね。

モデレーターの武田純人氏
モデレーターの武田純人氏

武田:とってもいいですね、子育てシェア。皆さんも同じような取り組みをなさっていますか?

田口氏(以下、敬称略):僕はここ福岡で、社会起業家のビジネスを支援するボーダレス・ジャパンという会社を経営しています。うちも12歳、9歳、6歳の3人を育てていますが、子育てシェアをよくしています。僕は「家族や親族とは近くに暮らしたい」と思っていて、実家のすぐ近くに住んで、毎週末、孫の顔を見せに行くのがルーティンです。飲食店を経営している弟家族も近くに住んでいて、お互いに忙しいときに協力し合っています。

:申し遅れました。ココナラというスキルシェアのサービスを提供しています南です。うちはシェアという意味では、夫婦の役割をしっかり分けていて、いわゆる“昭和な家庭”です。今どきのイクメンではまったくありません。ただ、それはお互いに合意したことで、「僕は君と子どもたち、僕と君の親、3世帯を養うくらい稼ぐ。その覚悟で生きていく」と約束したんですね。

:家庭によってそれぞれですよね。うちの妻は働いてなかったけれど、料理や掃除を徹底的に極めた結果、下の子が中学生になった今、主婦経験を生かして産後ヘルパーのサービスを始めています。結果的にビジネスになっちゃったという例ですね。

武田:夫婦の役割分担というのは、興味深いテーマですよね。子育てにおいて南さんが意識をされている役割は何ですか?

:妻の話を聞いて、悩みがあれば解決するための原則的な考え方を提示するくらいです。子育ては本当に簡単ではないから、悩みは尽きないですよね。悩みがあるたびに、ぶれない子育ての軸を確認し合う相手になってきた。そんな感じですね。

武田:中村さんはいかがですか? 夫婦の役割分担について。

中村氏(以下、敬称略):しくみデザインの中村です。8歳の娘がいます。僕の場合、妻が専業主婦ですが、料理は僕がやっています。なぜかというと、僕のほうが料理は得意だからで、その代わり、掃除や片付けはまったくできないので妻に任せています。互いに得意なことをしよう、という方針です。

武田:なるほど。それぞれが出せるバリューを尊重するということですね。では、皆さんの「子育てのこだわり」について、さらに聞いていきましょう。田口さん、いかがですか?

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