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各種デザイン制作、ウェブマーケティング、美容、ファッション、キャリア相談まで、個人や法人が得意なスキルや知識、経験を売買できるオンライン市場「ココナラ」。大手銀行や企業買収ファンドを経て、同サービスを立ち上げたココナラ社長の南章行氏は、自身の子育てにおいても「“得意”を生かす」ことにこだわっている。後編は「結果」を褒めず、「手伝い」に小遣いを渡さない理由。

なお南氏は2020年2月18~20日に福岡で開催される「ICCサミットFUKUOKA 2020」において、本連載とのコラボ企画「『子育て経営学』—私たちは子供をどう育てていくのか?(シーズン3)」に登壇する予定だ。本連載にも登場したスペースマーケット代表・重松大輔氏らとともに、子育てと経営の共通点などについて語り合う。

前編から読む

ココナラ代表取締役社長 南章行(みなみ・あきゆき)氏
1975年愛知県生まれ。慶応義塾大学卒業後、99年、住友銀行(当時)に入行。2004年にアドバンテッジパートナーズに入社し、ポッカコーポレーション(当時)などの企業再生を手がける。09年、英オックスフォード大学経営大学院を修了。現地では、音楽を活用した若者向け社会教育プログラム「ブラストビート」の日本法人設立を主導し、帰国後はNPO法人「二枚目の名刺」の立ち上げに参画し、個人の自立・自律をサポートする活動に積極的に関わる。11年に同社を退社し、ウェルセルフ(現ココナラ)を設立し、代表取締役社長に就任。インターネットを通じて、個人や法人が得意なスキル・知識・経験を売買できるスキルマーケット「ココナラ」を運営する。東京都在住。会社員の妻、16歳の長男と13歳の長女の4人暮らし。(取材日/2019年11月29日、写真:鈴木愛子)

お子さんを褒めるのは、どんなときですか?

南章行氏(以下、南):褒めるのも実は注意が必要で、“結果”を褒めることはしません。テストで100点とっても、0点とっても反応は同じ。なぜなら、結果がいいときにしか褒めないでいると、確実にいい結果が出せることにしか取り組もうとしなくなるから。リスクのあるチャレンジをしなくなっちゃうんです。米スタンフォード大学の研究でも有名で、よく言われていることですが、「結果ではなく、プロセスを褒める」。これをうちも重視していて、何か新しいことに動き出そうとするときには無条件で褒めて「いいじゃん、いいじゃん」と応援します。逆に、結果に対しては関心を持ちません。

本連載をまとめた『気鋭のリーダー10人に学ぶ 新しい子育て』(絶賛発売中)

 そして、親である僕自身もチャレンジする姿勢を見せたいといつも思っています。子育てって、要は「親が生きている通りに、子どもも生きる」というもの。つまり、子どもに本を読ませたいなら、親が本を読む。スポーツをさせたいなら、親が運動する。そんなふうに言い続けていたら、妻も感化されたようで、43歳にしてトライアスロンを始めたんですよ。まったく泳げないのに。

南さんの子育てポリシーが、奥さんにまで影響を?

:そうなんです。トライアスロンはもともと僕がやっていたから興味を持ったみたいなんですけれど、「自信ないから、まずは週1回からスイミングに通おうかな」と言うから、「いやいや、やるなら週4回は通いなよ」って言って。実際、僕の知人にもハードな練習をこなしているワーキングマザーがいるという話もしたらスイッチが入ったみたいで、本当に週4回通い出しました。毎朝5時に起きて弁当作って、6時からプールで1時間半泳いで、9時から仕事に行って。すごいんですよ、うちの妻は。その変貌ぶりに僕も感動しましたけれど、子どもたちも強烈に刺激を受けていると思いますね。母親がチャレンジする姿勢を見せるって、最高の教育だと思います。

 うちの妻は子どもの頃にやりたいことを素直に口にできる環境になく、何かをできた経験が極端に乏しくて、子どもができてからも「母親とはこうあるべきだ」という固定観念にとらわれて、オーガニックな食材をそろえて超ストイックに家事をするなど、頑張り過ぎていたんですよ。

 僕は何度も「つらいことはしないでいい。母親がごきげんに暮らすことが何よりもの教育になるんだから。やりたいことをやってほしい。もしも僕の予定と時間がバッティングしたら、喜んで譲る気もある」と言い続けてきて。すると、だんだんお茶をはじめたり、着付け教室に通い始めたり。少しずつ枠が広がっていった感じですね。