「アイデア出し」が親子の日常に

ご自身にとっても無理なく制作を楽しめる作品になっているのですね。

佐藤:そうですね。シリーズとして長く続けていけそうな点もいいな、と。今は世の中の消費スピードが速くなっていて、特にネットの世界では「一瞬でバズってすぐに消える」ということが頻繁に起こっています。僕自身の仕事もそういう面がかなりあるので、普遍的に残っていくコンテンツとして子育てのテーマは価値が高いと感じます。

 世の中にとって何がウケるのかどうかをあまり考えずに、目の前の息子の姿のありのままから表現してみる。結果としてそれがヒットしたら、「なるほど。こういうものを面白いと受け入れられるんだ」という新発見にもつながる。最近はだんだん息子との共作みたいな活動になってきています。

親子の作品づくりが夏休みの宿題対策のような一時的なものではなくて、佐藤家の日常になっているのですね。

佐藤:言われてみると、そうかもしれないですね。うちは奥さんがおもちゃ作家で、企画やモノづくりが好きな夫婦だということもあって、毎日がワークショップみたいになっているかもしれないです。次男はまだ0歳なので性格がまだ見えてきていないですが、少なくとも長男は企画型の人間ですね。出かけるときの車中でも車酔い対策の遊びとして、お題を出し合ってアイデア出しで盛り上がっています。

車の中でアイデア出し? どんなお題なのですか?

佐藤:例えば、「新しいジェットコースターを考える」とか。お題を出すのは僕か奥さんですが、息子は「ハイ、ハイ! 恐竜コースター!」とノッてきます。

 観察していると、だいたい子どもが思い付くのは、知っていることの組み合わせですね。そこで僕が普段の仕事感覚をちょっと発揮して対抗案を出すんです。例えば、発車タイミングが予測できない「いきなりコースター」とか。「ジェットコースター自体は変わらないんだけど、発車するタイミングが変わるだけで、体験丸ごと変わっちゃうよね」と話すと、楽しそうに聞いていますね。

 僕自身のテンションも仕事のアイデア出しとあまり変わらないです。こっちが放つのと同じ熱量で息子からもボールが返ってくるから、むしろありがたいですね。そのうち「オヤジ、うるせえよ」って無視されるようになるかもしれないけど……(笑)。

改めて、佐藤さんの普段の子育ての関わり方を教えていただけますか。

佐藤:基本的には仕事をいっぱい抱えているほうなので、平日はあまり子どもと絡めていなくて、それは奥さんにもハッキリと伝え、支えてもらっています。土日も仕事の作業で出社することもあるので、独立するときに職場は家の近くのシェアオフィスに決めたんです。自宅兼オフィスにすることもできなくはなかったのですが、僕は家では仕事ができないタイプなので場所は分けて。それなりにコストはかかりますが、このほうが生産性は上がるので。

 週末に子どもをオフィスに連れてくることもよくありますよ。「Photoshop」や「Illustrator」といったソフトを扱わせてみることもあります。「今こういう仕事をしていて」といった話も子どもにしますし、あまり公私を分けて考えていないほうだと思います。そのほうが、仕事にとっても家庭にとってもいい方法を探る癖がつくから、結果として自分が楽なんです。それに、子どもから発想のヒントをもらうこともよくある。子育てと仕事を交ぜて、ウィンウィンの関係にする。そんなイメージでやっています。

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