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「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代、旬のプロフェッショナルたちはどんな子育てをしているのか。今回は、人材開発の若手研究者として注目を浴びている立教大学経営学部の田中聡助教に話を聞く。田中氏は、「できないやつ」でもいいから「嫌なやつ」にだけはなるな、という思いで子育てしているという。そのために実践している子育てとは?(後編は11月7日公開予定)

田中聡(たなか・さとし) 立教大学経営学部経営学科助教
1983年山口県生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、インテリジェンス(現・パーソルキャリア)に入社。2010年インテリジェンスHITO総合研究所(現・パーソル総合研究所)の設立に参画。同社のリサーチ室長・主任研究員を経て、2018年4月より現職。専門は人的資源開発論・経営学習論。千葉県在住。専業主婦の妻、6歳の長女、2歳の長男と4人暮らし。(取材日/2019年7月10日、写真:鈴木 愛子)

田中さんは、人材育成を専門とする若手研究者として注目されています。リーダー育成の知見も踏まえて、ご自身の子育てについて教えてください。お子さんは6歳の女の子と2歳の男の子だそうですね。

田中聡氏(以下、田中):はい。上の子は幼稚園の年長で、来年の小学校入学に向けてランドセルを選んでいるところです。実はこの取材のオファーをいただいたとき、一度はお断りさせていただいたんですよね(笑)。自分にはとても語る資格のないテーマだと思い……。ですが、宮本さん(インタビュアー)からの「悩みや葛藤も含めて試行錯誤する30代の等身大を届けたい」という言葉に押され、僕の話が誰かの役に立つのであればと思って、お受けすることにしました。普段は社会人の学び・成長を専門にしていますが、こと自分の子育てとなると、迷いだらけで、何もできていないという反省の日々です。きっと歯切れが悪くなりますよ。

そうでしたね(笑)。ぜひその迷いの部分も語ってください。その「迷い」とは、どういう点にあるのでしょうか。

田中:子育ては「言うは易く、行うは難し」の典型です。子育てのスタイルは十人十色とはいえ、最近では育児の研究もかなり進んできて、世の中でいいといわれる子育て論は「好奇心を育てよう」「能力ではなく努力を褒めよう」など、ある程度定着してきているように思います。問題は、「それが本当にできているのか」ということです。もっと言えば、その評価さえも難しい。

 子育ての成果を評価できる主体は、究極には「育てられた子ども本人」だと思うのですが、残念ながら子どもが親に子育てのフィードバックをしてくれることは期待できません。親としても、どの時点の、どの結果をもって、自分たちの子育てを評価すればいいのか、まったく分からない。企業の部下育成や経営人材育成の成果であれば、ある程度の限定された期間内で成否の見極めができるものですが、子育てはそうはいきません。ということで、僕自身もあくまで試行錯誤の過程にあるサンプルの1つでしかありません。しかも、子どもの立場から見れば、親側の勝手な言い分です。今日はそういう立ち位置で、お話をさせてください(笑)。

普段はどのように子育てに関わっていますか。

田中:平日と休日でかなりメリハリをつけて、子育てに関わっているほうだと思います。平日は朝6時には家を出るため、正直、ゆっくり子どもたちと過ごす時間は持てていないですね。

 なぜこんなに朝早く出勤するのかというと、午前中を集中的に研究活動に充てているためです。研究者にとって30代は研究成果を量産したいキャリアの踏ん張り時。できるだけ生産性を高めるために、僕にとって最も集中できる朝の時間を活用しています。

 夜は8時ごろに帰宅しますが、その頃には子どもたちが歯磨きをして就寝するタイミングです。たまに早く帰れたら僕が歯磨きから手伝うこともありますが、それも隔週に1回くらいですね。