全5704文字

親の判断で、子どもの可能性の芽を摘んでいませんか?

武田:永遠のテーマですよね。続いて、末松さんの創意工夫について伺いましょう。末松さんはつい先日、息子さんが20歳を迎えられたそうですね。

末松:2日前に成人しました。武田さんは冒頭で、子育ては終わらないとおっしゃいましたが、私は「子育ては終わった」つもりでここに来ました(笑)。

 創意工夫のキーワードは「プロに任せる」。私は1993年にウェブデザインの会社を起業し、子どもが生まれたのが1999年、31歳のときでした。子どもに恵まれたのはうれしかったのですが、正直、「今なの?」という焦りのほうが大きかったんです。

 本来なら30代は、思い切り仕事ができるはずなのに、私はできない。「ライバルに差を付けられてしまう。私は育児も仕事のどちらも100%できていない」というコンプレックスが常にありました。子どもが0歳のときからシッターに頼ってきました。小学校受験に失敗して公立校に行かせましたが、教育方針について、毎日夫婦げんかばかり。これでは子どものために良くないと、9歳からスイスのボーディングスクール(全寮制の寄宿学校)に入れました。はっきり言って、現実逃避でした。でも、お任せして良かったと思っています。

武田:「外部の力を借りながら子育てしよう」ということは、今でこそ理解されつつありますが、当時はあまり受け入れられなかったのではないでしょうか。

末松:受け入れられるも何も、そんな選択をしたことを周りには言いませんでした。息子が海外留学中であることを明かしたのもしばらくたってから。実は、彼は「好きなだけスキーができる」と留学を決めたそうです。

 私自身は、高校時代に初めてスキーに行って捻挫をしたのがトラウマで、ずっと息子にスキーを禁じていたんです。でも実は息子はずっとスキーがしたかった。そう気づいたとき、「これまで親の判断で、どれだけ子どもの可能性の芽を摘んできたのか」と反省しました。

武田:夫婦でどのように子育ての方向を合わせていくのかは、大きなテーマですよね。

(中編は2019年10月15日に公開予定です)