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 「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。

 連載33回目に登場するのは、全自動の資産運用アドバイザー「WealthNavi」を運営し、サービスの正式ローンチから2年2カ月で預かり資産1000億円を突破したウェルスナビの柴山和久社長。米国人の妻と、6歳の娘の3人家族である柴山氏の子育てポリシーは何か。英国や米国でも働いた経験のある柴山氏だからこそ見えてきた子育ての方針などについて、話を聞いた。

 なお柴山氏は2019年9月2~5日に京都で開催される「ICCサミットKYOTO 2019」のプログラム「『子育て経営学』—私たちは子供をどう育てていくのか?(シーズン2)」に登壇する予定だ。本連載にも登場した日米のベンチャー企業の発掘・育成を手がけるWiLの創業経営者・伊佐山元氏らとともに、子育てと経営の共通点などについて語り合う。

ウェルスナビ代表取締役CEO 柴山和久(しばやま・かずひさ)氏
1977年群馬県生まれ。東京大学法学部卒業後、2000年に大蔵省(現財務省)に入省。2004年に米ハーバード・ロースクールを卒業し、ニューヨーク州弁護士資格を取得。2006年に英財務省に出向し、日英の予算・税制・金融・国際交渉を担当した後、2009年に退職。仏経営大学院INSEADに留学し、MBAを取得。2010年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、主に機関投資家のリスク管理・資産運用に携わる。2015年に独立し、ウェルスナビを設立。全自動の資産運用アドバイザー「WealthNavi」を運営し、サービスの正式ローンチから2年2カ月で預かり資産1000億円を突破。現在、預かり資産1600億円、運用者数15万人と急成長を遂げる。著書に『元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法』(ダイヤモンド社)がある。東京都在住。フリーランスライターの妻、6歳の長女と3人暮らし。(取材日/2019年7月16日、撮影/鈴木愛子、ほかも同じ)

財務省からマッキンゼー・アンド・カンパニーへ、そして4年前にウェルスナビを創業。日・米・英で学び、働いた経験のある柴山さんは、「家族を大切にする社長」として評判だと聞きました。6歳の娘さんがいらっしゃるそうですね。

本連載に登場した、気鋭のビジネスリーダーやプロフェッショナルなど10人の子育て論をまとめた『子育て経営学』

柴山氏(以下、柴山):はい。米国人の妻と2人で娘を育てていて、今は幼稚園の年長です。

 米ハーバード・ロースクールへの留学中、大学の茶道部(Harvard Chado Society)で、妻と知り合いました。娘が生まれた6年前はマッキンゼーに在籍していて、ニューヨークのウォール街で働いていました。正直、子育てに向いている環境ではありませんでした(笑)。そして1年ほどして、夫婦で東京に移りました。

家庭内では日本語と英語、どちらで会話しているのでしょう。

柴山:ほぼ英語です。ただ、以前は95%以上英語でしたが、最近は日本語も30%程度使うようになりました。結婚してから知ったのですが、妻も日本語を流暢(りゅうちょう)に話せるんです。

 結婚の挨拶のために私の実家に来た時、てっきり妻には通じていないと思って両親と交わした会話について、「あの時、こんなふうに言っていたでしょう」とあとから妻に言われた時は、驚きました。何を話したか詳細を思い出せずに焦りましたが、無事に結婚できたのでよかったです(笑)。

 家庭内の会話に日本語の割合を増やしたのは、娘への影響を考えてのこと。英語しか話せないと、まず私の両親と会話ができませんし、日本でのコミュニケーションに支障が出ると感じました。

 インターナショナルスクールのプレスクールに4年通ったあとで近所の幼稚園に切り替えたのも、その理由です。