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落ち込んだらジャンプをして前向きに

セルフコーチングというスキルが、一生モノの財産になったのですね。

為末:自分の感情をそれなりに客観視できるので、常に一定以上の機嫌に保てているのは長所だと思っています。「どうせ明日も走らないといけない」と思えば、上機嫌でいるほうが合理的ですよね。

 このセルフコーチングスキルは息子とのやり取りにも応用できます。

 例えば息子が、何らかのことに腹を立てて興奮してきたら、クールダウンするための動きやポーズをさせるんです。4段階くらいに分けていますが、例えば誰かをたたきそうになったら「近くにある柔らかいものをバンバンとたたきなさい」と言ったりしています。

 ちょっと興奮してきたら、「しゃがんでごらん」と促してみる。

「しゃがむ」だけでも効果があるのでしょうか。

為末:試してみると分かりますが、人間がしゃがんだ状態で怒るのって、難しいんです(笑)。

 普通、怒っているときは、肩をいからせたり、腕を上げたりしますよね。人間は無意識のうちに感情に合わせた動きをしているので、感情とは逆のポーズをあえて取れば、それによって感情をコントロールすることができるんです。

先ほど触れた「心拍を下げる」のも、ポーズによってできるのでしょうか。

為末:ある程度できますよ。緊張して上がった心拍を落ち着かせるには、肩の位置を下げて、視点を一定に保った状態で深呼吸をするんです。

 気分が落ち込んだときには、ジャンプするだけで気持ちが前向きになります。全部、僕が知識を得ながら自分の体で仮説検証してきたことですが、今は子育てにも生きています。