何を身につけさせたいかで選べる子どものスポーツ

「いろいろな動き」というのは、具体的にどういう動きでしょうか。

為末:僕の分類では3つあって、1つはバネという意味でのジャンプ。次に飛んできたボールをキャッチして投げるような、アイ・ハンド・コーディネーション。そして鉄棒遊びのような回転系の動き。2つ目と3つ目は、成長した後ではなかなか身につかないと言われているので、小さいうちにたくさん経験させるといいと思います。ちなみに僕は2つ目の動きをあまりやってこなかったので、いまだにテニスは下手くそです(笑)。

 「運動が得意になる」にもいろんな要素や段階があることを知っておくといいですね。

 語学と一緒で、小さい時に身体が覚えた動きは、しばらくブランクが空いても、大人になってから引き出すことができると言われています。ですから、遊びを通じていろんな動きをさせているといいと思います。

 例えば、小さい頃にラケット遊びをたくさんしていると、中高生になってバレーボールを始めた時に、体を大きく使って腕をしならせて打つ動きがスムーズにできる。近い動きの再現性が高くなるんです。

 うちの場合は、まだ小さいので、道を歩く時に片足のケンケンで歩いてみたり、白線の上だけを歩く遊びをしたり、できるだけ階段を使って昇り降りをしたり……普段の動きの中で、色々と試しています。難しいことは考えず、子どもが面白がっていたら何でもオーケーです。

「子どもにスポーツの習い事をさせたいが、どう選んだらいいか分からない」という声もよく聞かれます。

為末:まず「スポーツを通じて何を身に付けさせたいか」を考えるといいと思います。

 僕が考えるに、スポーツは大きく分けて「①演技系」「②対戦系」「③重さ・タイム系」「④チーム系」の4種があると思っています。そして、それぞれに勝敗を分ける要素が違っています。

 「①演技系」は、フィギュアスケートや体操が当てはまります。これらは、リハーサル通りに本番でも実践する力が問われますから、それを通してメンタルを鍛えることができます。また他者から見られる自分の動きのイメージを頭で描いて、その通りに動かす力も養われるはずです。

「②対戦系」はレスリングや柔道など、相手のあるスポーツのこと。ここで大切なのは、相手の手の内を考える要素でしょう。また勝敗が決まった後で、「あの時のあの一手が違っていたら」と悔しさが残りやすいスポーツでもあると思っています。

「③重さ・タイム系」は、まさに僕がやっていた陸上競技や水泳のことです。数字で明確に勝敗が決まるという意味では、4タイプの中でも最もファクトの要素が強い。「負けること=自滅」でしかないので自問自答を繰り返します。自分に対する理解が進みますし、仮説検証でも結果が出やすい。年齢とともに能力が減退することが如実に分かるので、過去の自分が常に亡霊のように追いかけてきたりもします。

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