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1日4〜5冊、絵本を読むワケ

かわいいですね。「無意識の情報を蓄積できる体験」とはどういうものなのでしょう。

為末:例えば、「喉が渇いた」という文字列の意味するところは、「ちょっと喉が渇いた」というレベルから、「灼熱(しゃくねつ)の砂漠で喉が渇いた」というレベルまで、ものすごく幅がありますよね。この粒度の細かい経験があるかどうかによって、言語がより巧みになる。

 そして言語が巧みになると、ロジックが成立しやすくなるのかな、と思います。いかに自分の身体感覚と言語を一致させていくか。それによって、ものごとを理解するときの深度は大きく違ってくると思うんです。

その時、体験と言葉を結びつける力も必要です。子どもの言葉を豊かに育てるための働きかけとしては、日ごろどんなことをしていますか。

為末:絵本の読み聞かせを毎日やっています。これは僕が担当しているのですが、大体1日に4~5冊。最近は、『おしりたんてい』シリーズに息子がハマっていて、全巻そろえています。

 あとは僕が子どもの頃から大好きな絵本の『おおきな きが ほしい』や『すてきな三にんぐみ』も繰り返し読んでいます。

 僕は、スポーツ分野の出身者の中でも言語化が得意な方だとよく言われます。それは子どもの頃に、両親がたくさん本を読み聞かせてくれたおかげかなと思っていて、とても感謝しています。

 あと子どもの言語能力を育てるには、大人の方から積極的に「引き出す」意識が必要だと思うんですね。

 子どもが何気なく口にしたささやかな言葉を、できるだけ拾うようにする。「面白いこと言うね」「なるほど、そうなのかもしれないね」と拾って肯定する。まぁ、子どもが調子に乗っちゃうこともあるんですけど(笑)、「自分のアイデアを口にするのはいいことなんだ」と思えるのはいいんじゃないかと思います。(インタビュー中編は2019年7月30日公開予定)