全4438文字

 「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。

 連載30回目に登場するのは、画像・動画・音楽の素材サイト「PIXTA」、出張撮影プラットフォーム「fotowa」、スマートフォンアプリの写真販売サイト「snapmart」などを展開するピクスタ社長の古俣大介氏。

 現在は、3人の子ども(9歳の長男、7歳の次男、1歳の長女)がいるが、長女誕生の前には妻が妊娠高血圧症で入院。1カ月ほど、2人の息子を1人で世話したという。この間、事業にほとんど影響がなかったという。具体的に働き方をどのように変えれば、子育てに関わりながら社長業を務められるのか、話を聞いた。今回はその後編。

ピクスタ代表取締役社長 古俣大介(こまた・だいすけ)氏
1976年埼玉県生まれ。多摩大学在学中にコーヒー豆のインターネット販売、女性向け古着販売のサイト運営を開始。大学4年の時に、創業間もないガイアックスでインターンとして勤務。大学卒業後、正社員として同社に入り、営業マネジャーに。在職中、2つの新規事業を立ち上げ、2000年に子会社の取締役に就任。2002年、自身の会社として万来を設立し、飲食店向け販促デザイン事業、美容健康グッズのネット販売事業を展開し、年商1億円に。2005年、オンボード(現ピクスタ)を設立し、現職。画像・動画・音楽の素材サイト「PIXTA」、出張撮影プラットフォーム「fotowa」、スマートフォンアプリを使った写真売買サイト「snapmart」などを展開。シンガポール、台湾、ベトナム、タイ、韓国にも拠点を持つ。東京都在住。専業主婦の妻、9歳の長男、7歳の次男、1歳の長女と5人暮らし。(取材日/2019年6月7日、撮影/鈴木愛子、ほかも同じ)

インタビューの前編で古俣さんは、3人目のお子さんが生まれたことをきっかけに働き方を大きく変えたとおっしゃいました。また奥さまにも積極的に「外の手」を活用しようと勧めている、と(詳細は「妻入院で突然の育児ワンオペ!働き方が根底から変わった」)。それによってご家庭の雰囲気に変化はありましたか。

本連載に登場した、気鋭のビジネスリーダーやプロフェッショナルなど10人の子育て論をまとめた『子育て経営学』

古俣:妻とのケンカはかなり減りました。以前はどうしても時間の使い方で言い合いになっていましたから。

 1カ月のワンオペ期間を経験したことで、僕も大体の家事をこなせるようになったので、今では妻を「ママ飲み会」に送り出せるほどになりました。息抜きは大事です。

 あと、早く帰る生活に変えてから、子どもたちのことがより把握できるようになったと思います。一緒に食事しながら、その日に学校であった出来事を聞いたり、宿題を見ながら得意・不得意に気づいたりする中で、今まで全然見えていなかった子どもたちの特性が理解できるようになりましたね。

 もちろん妻から話は聞いてはいましたが、直接触れるのではやはり解像度が違いますね。

今おっしゃった「宿題を見る」という子育てタスクは、小学生のお子さんを持つみなさんにとって、悩みの1つです。お子さんは宿題を進んでやるタイプですか。

古俣:あまり進んでやるほうではないですね(笑)。妻は結構、厳しく「やれと言ったらやりなさい!」と叱るタイプなので、僕は反対に寄り添う役割で。

 子どもに宿題をどう取り組ませるかは、部下マネジメントにも似ていますよね。答えを直接言うのか、まずは自分で考えさせるのか、あえて間違わせるのか。

 僕の場合は、時間をかけて問いかけていくことが多いですね。「問題はなんて書いてある?」から始まって、「どう解いたらいいと思う?」「どの部分を見たらいいと思う?」というふうに。考えるプロセスを問いかけながら、段階的に理解させていく。

親のほうに根気が必要になりますね。

古俣:根気が必要です。本人が宿題に向かう気持ちになっていることがとても大事なので、まず「いつやる?」というのを本人に決めさせます。自分で決めたことなら、自然とやろうとしますから。