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 「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。

 連載28回目に登場するのは、テレビ東京ディレクターの高橋弘樹氏。プロデューサー・演出を務めるバラエティー番組「家、ついて行ってイイですか?」は終電を逃した老若男女の日常生活に密着。“市井の人のドラマ“を描いて高視聴率を記録した。ほかにも多様な番組を手掛け、自身で脚本・撮影・編集も担当するオールラウンダーの高橋氏だが、プライベートでは1歳7カ月の長男の子育てに全力を投じているという。テレビマンらしいユニークな視点で子育てに関わっている高橋氏に話を聞いた。今回はその後編。

テレビ東京ディレクター 高橋弘樹(たかはし・ひろき)氏
1981年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、2005年テレビ東京に入社。制作局に所属し、ドキュメンタリー番組やバラエティー番組の制作に携わる。プロデューサー・演出を務めるバラエティー番組「家、ついて行ってイイですか?」は、終電を逃した老若男女の日常生活に密着。“市井の人のドラマ“を描いて高視聴率を記録。そのほかに演出を手掛けた作品として「吉木りさに怒られたい」「ジョージ・ポットマンの平成史」「空から村人発見!パシれ!秘境ヘリコプター」、ディレクターとしては「TVチャンピオン」「世界ナゼそこに?日本人」など。番組制作では、自身で脚本・撮影・編集も担当するオールラウンダー。これまで執筆した脚本は2000ページ、ロケ本数300回、編集500本以上にのぼる。最新刊は『1秒でつかむ』(ダイヤモンド社)。東京都在住。専業主婦で8歳下の妻、1歳7カ月の長男と3人暮らし。(取材日/2019年2月14日、撮影/鈴木愛子)
本連載に登場した、気鋭のビジネスリーダーやプロフェッショナルなど10人の子育て論をまとめた『子育て経営学』

普段、奥さんと子育ての方針については話しますか。

高橋氏(以下、高橋):結構話していると思います。というか、ほぼその話題だけになりましたね。最近は「知育教室に入れた方がいいのか、入れるとしたらどこがいいのか」という話題が多いです。

 僕はそうでもないんですが、妻は教育熱心で「たくましく生きる力を育んで、モテる子に育てたい」と言っているので。僕もつられて教室に話を聞きに行ったりしますが、「こういう世界もあるんだな」と楽しんでいます。

 僕自身が強く思っているのは、何にでも好奇心を持って楽しめる子に育ってほしいということ。

 僕は子どもの頃からいろいろなものに興味があって、多趣味なタイプ。旅行も好き、釣りも好き、読書も好き、熱帯魚も好き。何にでも興味を持つのが得意で、おかげで全然深まらないんですが、毎日が楽しい。学生時代に入院した時でさえ、「この病院、どんな建物の構造になってるんだ?」と興味がわいて、つい楽しんでしまったほどです。

 テレビ制作は好奇心旺盛であることが一番の適性ですから、今の仕事を選んだのは正解だったなぁと思うのですが。僕自身がこういう性格で人生を楽しめているので、子どもも“面白みを見つける力”を身につけてくれたらうれしいですね。

高橋さんが考える「何でも面白がれる大人に育てるためのメソッド」を教えてください。

高橋:自分がなぜそうなったかを振り返ってみると、父親のある姿が浮かぶんです。どんな姿かというと、大河ドラマが好きで、毎週楽しみに見ていた父が、とにかく心から楽しそうにテレビを見ていたんです。

 俳優の渡辺謙さんになりきって、モノマネをしながら「独眼竜政宗」を見ていたり、主題歌を大声で歌っていたり。ちょっとヤバいくらいののめり込みようでしたが、そういう姿を見て僕は、歴史に興味を持って好きになって、勝手に本を読むようになったりして。入社試験で「歴史番組を作りたい」と書いた原点も父でした。

 父は銀行員で平日の帰宅が遅く、一緒に過ごす時間は限られていました。だから家にいる時の姿が、強く印象に残っているのかもしれないですね。「登場時間が短い人は印象に残る」と肝に銘じて、サボっちゃダメです。