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 「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。

 今回から6週にわたって紹介するのは、2018年秋に開催したイベントの様子だ。

 本連載を1冊にまとめた『子育て経営学』の発売を記念して、本書にも登場するWiL共同創業者CEO(最高経営責任者)の伊佐山元氏と、NPO法人クロスフィールズ代表理事の小沼大地氏が登壇。本連載の著者であるノンフィクションライターの宮本恵理子氏がファシリテーターとなって、2人の子育てについて話を聞いた。

 今回は「子育て経営学」イベントリポートの1回目。最初に聞いたのは、子育てで実践していること。自己肯定感を育むために、普段、どんなふうに子どもと接しているのか、語ってくれた。

イベントに登壇したのはWiL共同創業者CEOの伊佐山元氏とNPO法人クロスフィールズ代表理事の小沼大地氏。伊佐山氏は、専業主婦の妻と、大学生の娘、3人の息子たちの6人家族。長女は2017年、米スタンフォード大学に入学した。小沼氏は共働きの妻と、息子1人、娘1人の4人家族だ
本連載に登場した、気鋭のビジネスリーダーやプロフェッショナルなど10人の子育て論をまとめた『子育て経営学』

宮本氏:伊佐山さんは、19歳の娘さんを筆頭に4人のお子さんが、小沼さんは5歳と2歳のお子さんがいらっしゃいます(2018年10月時点)。

 最初に伺いたいのは、お二人が普段、どんな体験や学びの機会を子どもに与えようとしているのか、ということです。またそのために、どんなことを実践しているのか。ぜひ、教えてください。

伊佐山氏:「どういう子どもに育てたいか」という点では……子どもが成長する過程では、イヤなことがたくさんありますよね。苦労をしたり、うまくいかなかったり、いじめられたり、失恋したり。

 そういったイヤな経験をどう乗り越えていくのかによって、人生は大きく変わると思っています。だからこそ、イヤなことが起こったときに、子どもが「まあ、大丈夫かな」と思えるような環境をどうつくるか。それが大事だと思うんです。

 大切なのは、失敗しても大丈夫な人、リスクを取れる人になることです。安心して失敗できるようになるにはどうすればいいのかを考えると、それは、親が愛情を注ぐしかないと思っています。

 愛情を注いで、「親がいつでも守ってくれる」「親がセーフティーネットになってくれる」と子どもの脳が反応するようになったら、後は放っておけばいいんです。そうすると、子どもは大変なことになったら親のところに来るようになる。そしてそのとき、親は「大丈夫、何とかなる」と言えばいい。そういう意味では、親と子どもの関係の作り方が大切なのだと思っています。

 では、愛情をどうやって伝えていくか。親は子どもに、いろんなことに挑戦させようとしますが、うまくいかなかったとき、どうしてもネガティブな反応をしがちです。「何でできなかったの」と。

 けれど、その悔しさは子どもが一番分かっているはずですよね。すごく頑張ったのに失敗した。

 そんなとき、親がぐっとこらえて、「頑張ったよね」「もう一回挑戦すればいいよ」と、子どもがイヤにならないような言葉をかけることでしょう。これは徹底すべきだと思っています。

 意識しないと、どうしても親はネガティブな言葉を口にしたくなります。「なんだ、今日の様子は」とか。言いたくはなるけれど、言わないようにすること。そこは親が頑張らないといけません。「すごかったね。オレにはできなかったな」とほめることが大事なのではないでしょうか。

宮本氏:親も期待してしまいますからね。つい「何でできなかったのかな」とネガティブな言葉が出かかってしまうものです。小沼さんはいかがでしょうか。