全5410文字

子育ても組織のチームビルディングも同じ

自宅で三男と将棋を指す井手社長

お子さんたちは、井手さんの仕事について理解していますか。

井手:「よなよなエールの会社の社長」だということは分かってきているみたいです。「パパはビールを作っているの?」「ビールの会社の社長だけど、ビールは作らないよ」「なんで作らないの?」「ビールづくりは難しいんだよ」なんて会話を交わしています。

 この間、遊びに行った先のゴミ箱によなよなエールの空き缶が捨てられてあって、それを見つけた子どもたちが、「パパー! 見て見て! よなよなエールだよ~!」と大騒ぎ。周囲で聞いた人は「子どもにビール飲ませているのか?」と思ったでしょうね(笑)。子どもたちが僕の一番身近な応援団でいてくれて、うれしいですね。

ヤッホーブルーイングは「チームビルディング」の分野でも注目されています。子育てと組織づくり、共通点はありますか。

井手:基本は同じだと思います。子育てにおけるチームは、夫婦をはじめとする子どもを育てる大人たち。チームが足並みをそろえて進むには、目指すゴールやビジョンの方向性を合わせることが不可欠です。

 そのためには、まずお互いが意見を出し合って、ぶつかり合う時期を経て、互いを尊重し、「うちはこれでやっていこう」と意識を擦り合わせていくこと。

 チームビルディングには、「①フォーミング(形成期)」→「②ストーミング(混乱期)」→「③ノーミング(規範期)」→「④トランスフォーミング(変態期)」の4段階を経ると言われますが、特に①~③の成長過程は、家庭の子育てチームビルディングにおいても全く同じだと思います。

 つまり、まずはお互いの価値観を理解するためにコミュニケーションの量を増やして、時に意見の衝突や対立を生む時期を経て、自分たちなりのやり方を見いだしてくる。わが家もそうでしたが、子どもが生まれた途端、夫婦げんかが増えるというじゃないですか。それはチームビルディング的に必要なプロセスだということですよ。

 そしてだんだんと「うちの子どもたちには、こっちの学校の方が合ってそうだよね」という合意がすぐにできる状態になっていく。会社の方針が100社100様に異なるように、子育ての方針も家庭の数だけ違うのが当たり前。「うちはこうだよね」と内部で理解し合っていることが重要なのだと思います。

 ポイントは、互いの強みやこだわりをきちんと理解するコミュニケーションに、初期の段階でしっかりと時間をかけること。すると、子育てにおいて大事にしたいポイントを、自分だけでなく相手のこだわりも尊重し合えるチームに近づくはず。僕もそうありたいですね。