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 「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。

 連載25回目に登場するのは、法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授。ライフキャリア論を専門とし、「変芸型キャリア=プロティアンキャリア」を提唱する田中教授は、わが子の子育てでも「プロティアン子育て」を実践する。親の価値観を押し付けず、常に子どもの意思で幅広い分野に挑戦させる田中教授の子育てとは。話を聞いた。今回はその前編(後編は2月26日公開予定)。

法政大学教授 田中研之輔(たなか・けんのすけ)氏
1976年生まれ。法政大学教授、社会学博士。一橋大学社会学研究科博士課程修了。メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員を務めた後、2008年に帰国。ライフキャリア論を専門とし、教育・研究活動を行うと同時に、多分野のプロフェッショナルと連携してグローバル人材育成活動にも取り組む。一橋大学、慶應義塾大学、早稲田大学ほか9大学で兼任講師。社外取締役・社外顧問を13社歴任。『走らないトヨタ ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)、『先生は教えてくれない就活のトリセツ』(ちくまプリマー新書)など著書20冊。『教授だから知っている大学入試のトリセツ』(ちくまプリマー新書)、『辞める研修 辞めない研修』(ハーベスト社)が3月に刊行予定。大学教員の妻、13歳の長女、10歳の次女と4人暮らし。(取材日/2018年12月25日、撮影/鈴木愛子)
本連載に登場した、気鋭のビジネスリーダーやプロフェッショナルなど10人の子育て論をまとめた『子育て経営学』

田中先生は社会学の立場から、企業と個人にとって最適なキャリア設計についての理論を研究しています。最近特に注目されている「プロティアン・キャリア」について、ご自身の子育てにも深く共通していると伺いました。まずは「プロティアン・キャリア」がどういうものなのか、教えてください。

田中氏(以下、田中):「プロティアン」とはギリシャ神話に登場する「プロテウスの神」に由来する言葉です。もともとは、米国のキャリア研究の権威であるダグラス・ホール教授が、これからの時代のキャリア設計のキーワードとして提唱しています。海の神であるプロテウスが、炎、獣など自在に姿を変えて、その時々で必要な力を発揮した様を表す言葉で、日本語では「変身」または「変芸」に置き換えられます。

 個人の長寿化、企業の短命化、産業構造の変化によって、キャリアが“単線”から“複線”になる時代には、この「変芸型キャリア」が重要な指針になると私は考えています。

 つまり、「いかに変われるか」。変わることを恐れず、いつでも新しい世界に踏み出せる人材育成やキャリア開発が私の研究テーマであり、わが家の子育てにおいても徹底している考え方です。

どのように子育てに生かしているのでしょうか。ご家族構成と、お子さんとの普段の関わり方は。

田中:中学1年生と小学4年生の娘がいます。妻は同業の大学教員で二人とも忙しく、夫婦とも実家が遠方なので、頻繁には頼れません。典型的な都市部の共働き核家族として、夫婦で連携して子育てをしています。

 ただ私の場合は、大学教員という比較的柔軟な働き方ができる職種ですから、子育てに深く関われる生活は、実践しやすいほうだと思います。

 毎日、一緒に朝食をとった後に、学校まで送り出すこともできますし、娘の帰宅時間に合わせて早く帰ることもできます。もっといろいろな職種に柔軟な働き方が広がっていくと、男性の子育ても変わっていくでしょうね。

 夫婦とも、重要業務が重なりどうしても仕事が外せない日は、長野にいる義母にサポートをお願いします。お義母さんも元気で、「孫と会えるのが楽しみだから」とおっしゃってくださるのがありがたいですね。